学び舎再訪  恵まれた環境に感謝 国立インドネシア大学 最高学府

 メルクマールは人造湖「クナンガ」と学長公舎――。最高学府、インドネシア大学(UI、西ジャワ州デポック市)は、これらを中心に広大なキャンパスが広がる。この恵まれた環境が整ったUIで昨年の5月から12月までの半年間、語学留学プログラム「BIPA」に参加した。修了から1年。就職報告も兼ねて当時の担当講師と旧交を温めようと再訪した。           

 中央ジャカルタにあるゴンダンディア駅からなら、首都圏専用電車(KRL、コミューター)でボゴール方面へ1時間ほど揺られると、「インドネシア大学駅」に到着する。駅はキャンパスと直結しており、巨大なガジュマルなどが木陰を作る〝森〟を抜けると、半年間にわたって通った人文学部(FIB)の校舎に着いた。
 17学部を擁するUIのデポック・キャンパスは敷地面積30万平方㍍。なんと東京ドーム6個分の広さを誇る。このためキャンパス内はバイクタクシーやブルーバードといったタクシーも移動の足だ。電動自転車のレンタルもあるが、無料の巡回バスが学生たちの生活を支えている。UIのカラーである黄色い車体の「ビス・クニン」だ。
 まず、毎日のようにランチをしていた食堂街「ブダヤ」に行ってみる。ナシゴレンやガドガドといった定番のインドネシア料理に加え、スンダ料理やパダン料理の店がずらり。すでに時間はランチタイムに入っており、学生らでごった返して席を取るのも一苦労した。ようやく落ち着き、パダン料理の野菜炒めと「ルンダン」(牛肉のココナッツミルク煮込み)を注文。柔らかく煮込まれた牛肉をコクとほのかに甘みが口に広がる。大学の食堂と侮るなかれ。クオリティーの高い郷土料理を楽しめる。しかも込み込み1万7000ルピア。財布にも優しい。
 恩師との待ち合わせは同学部内のカフェ「コピ・サストラ」。留学中も授業後によく利用した。久しぶりの再訪に胸を躍らせながら入ると、なんと店内が半分の広さになっていた。店主のピアン氏(40)に理由を尋ねると、「賃貸料が高くなったから店を半分に縮小した」とのこと。店の事情なので仕方がないが、友人と囲った大きなテーブルもなくなり、少し寂しかった。コーヒーを飲みながら待っていると、授業を終えたチノ・プラスノウォ氏(41)、通称プラス先生がカフェに到着した。
 留学当時の思い出話や仲間の話に花が咲いた。プラス先生自身もUIの出身。遠く20年ほど前のキャンパスの様子も聞けた。わずか半年。されど半年。UIは私のインドネシア体験の第一歩であり、その恵まれた環境に感謝しよう。(山本佑、写真も)

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