アロハ気分で束の間の休息 急速な発展をみせるPIK 北ジャカルタ
少し目を離すと、急速な発展をみせる北ジャカルタの人工島、パンタイ・インダ・カプック(PIK)。ランドマークである中華街「パンチョランPIK」やオシャレなカフェが軒を連ね、昨年4月にはハワイをイメージした娯楽施設「Aloha Pasir Putih」がオープンし、映え写真を撮るべく休日には地元民で賑わいを増す。そんな開発が進むPIKを1年半ぶりに訪れてみた。
スカルノハッタ国際空港(バンテン州タンゲラン)から車で約15分の距離にあるPIK。開発計画が最終章へ向かうころには、トランジットの待機時間でジャカルタを楽しむ観光客で賑わうこともあるのだろうか。
初めてPIKを訪れた時は、中央ジャカルタから州営バス「トランスジャカルタ」を利用した。意外にも乗り換えなしに1本で辿り着けてしまうことに驚いたことを思い出す。
太陽を遮る高い建物がないPIKを元気よく楽しむため、まずは腹ごしらえを。PIKを語る際には外せない中華料理店「Jinmu Dumpling 金木」へスキップをしながら向う。ジャカルタで1番おいしい小籠包が食べられると言っても過言ではないだろう……。そして、お腹がはち切れる寸前まで食べても料金が安い。
次に飲食店がずらりと並ぶ「San Antonio Beach PIK2」でお散歩。川の反対岸には新たに建設が進む工事の様子がみられる。また、歩道の幅が十分にとられており、歩きやすいのだが、レンタルバイクが勢いよく横をすり抜けていく。身の危険を感じる。せっかくの歩道があっても「歩行者優先」の言葉はもう少し先のようだ。
最後は「Aloha Pasir Putih」に。「ズンチャ! ズンチャ!」と音楽が響く中、リズムに乗るヒジャブを被ったマダム。白い砂浜を背景に、映え写真に熱を込めるカップルや砂遊びをする親子。束の間の休息を各々の楽しみ方で満喫しており、ほかほかと温かい気持ちを抱く。
南ジャカルタ・セノパティで行列をなすカフェ「Scarlett’S Cafe」がPIKにもあったり、雨合羽を着てアート制作に没頭できる施設もあり、1日では回り切れないPIK。
目覚ましい発展を見せる一方、過去を遡れば、漁業や海洋生態系への影響を懸念した環境団体や漁業団体が埋め立てに反対。また、開発を主導する大手不動産アグン・スダユ・グループとジャカルタ特別州政府らの間で開発許可をめぐる汚職事件も発覚した。これにより、たびたび工事を中断した時期もあったという。
開発を巡っては当時、アニス・バスウェダン氏がジャカルタ特別州知事に就任する際の知事選で、人工島事業を推進してきたアホック元ジャカルタ特別州知事に対し、事業中止を訴えていた経緯もある。
「最終的には丸く収めるインドネシア」。東カリマンタン州で建設中の新首都「ヌサンタラ(群島=IKN)」も落ち着くべき所に落ち着くのだろうかと頭の片隅で考えながら帰路に就いた。(青山桃花、写真も)