夢のような海の世界でウミガメを ギリ・トラワンガン 移動手段は自転車と馬車
パカラッ、パカラッ——と足音を鳴らし、私をホテルまで運ぶ。潮風の冷たさを肌で感じながら、エメラルドグリーンの海が目の前を通り過ぎる。自動車もバイクも存在しないこの島での移動手段は自転車か馬車。日本を発つ前、高校の級友が「バリ島へ訪れるなら、ギリ島へ必ず行って」と私に言った。約束を履行しようと思い立ち、バリ島・ウブドを経由してからギリ島へ向かった。
ギリ島は西ヌサトゥンガラ州ロンボク島沖に所在し、トラワンガン、メノ、アイルの3島からなる。トラワンガンは「パーティー・アイランド」。メノは「ハネムーン・アイランド」。アイルは「バックパッカー・アイランド」と、各島の特徴から裏名もある。
バリ島東部のパダンバイ港から小型船に乗り、2時間足らずでギリ・トラワンガンに到着。今回は3島で最も栄えているという同島だけに的を絞り2泊した。先に自動車もバイクも存在しないと記したものの、実際に訪れてみるとバイクらしきものは数台見かけた。
私の場合、小型船の料金は往復で50万ルピア。入港料で1万ルピアと、港で私のキャリーケースを奪い取り、小型船まで運んだおじさんに2万ルピアを支払った。また、ギリ島上陸の際には入島料が必要で、外国人は1人1万ルピア。インドネシア国民は3000ルピアだった。入島料の支払い義務を知らず、少し焦ったものの、「KITAS(外国人の一時滞在許可)を持っているよ!」と図太く主張し、国民価格にしてもらった。
ホテルに着いてからは島を散策。オシャレなカフェが並ぶ海沿いの道から1本、内側に入れば、民家や小さな市場が。野原に放たれた牛がのんびりと過ごしており、雰囲気がガラッと変わる。そして、日差しが和らぐころになると、海辺に寝転がり読書をしながら、海を食べてしまうほど大きな夕日が沈むのを眺めた。
2日目は朝からシュノーケリングを。ギリ3島を回り、ビー玉のように輝くつぶらな瞳を持つウミガメに会いに行った。ガイドに手を引っ張られながらスイスイと海を漂っていると、「夢みたい」だと思った。それほどまでに、海の世界は美しかったのだ。ひと泳ぎした後は、ギリ・アイルで休息を。波音を聞きながら、木影で睡眠をとった。
目が覚めて元気になった私はガイドのヘンドロさんとのお喋りに興じた。気になっていた質問を投げかけた。「ギリ・トラワンガンには学校はあるの?」と。回答は、観光に特化した専門高校まではあるが、普通高校へ行きたい場合はロンボク本島へ行き、寮住まいになるという。また、彼は毎日、本島からギリ島へ通勤しているそうだ。
トラワンガンは、パーティー・アイランドと呼ばれる通り、夜が更けると中心部は観光客で盛り上がりを見せていた。1人で旅をした今回。少し寂しい気持ちになってしまったので、次回は友人と訪れたいと思った。(ギリ島=青山桃花、写真も)