Z世代への対応 (74)
「入社2~3年目の部下をゴルフや飲み会に誘いますが、平気で断られます。その割に仕事に関しては逐一指示を受けてからでないと動けません。もっと自主的に動くよう伝えたところ、意気消沈されてしまいました(37歳)」
駐在地の職場で働くとなると、日本で働く以上にコミュニケーション力が求められますね。あなた自身は先輩たちからゴルフや会食に誘われ、一緒に時間を共有する中で、仕事のやり方も教えられて来たのでないでしょうか。
ところが、同じことを後輩にしても、ありがたがられず、もっと場所に馴染む努力をし、周りを見て自主的に行動して欲しいと感じるのも無理はありません。
ただ、本稿ではあなた自身の心を守るため、あなたの職場をよくしていくために、違う視点からも見ていきましょう。
Z世代という言葉を聞いたことはありますか? 1990年代後半~2000年代前半に生まれ、生まれたときから日常がデジタル化された中で育った世代です。職場では20代がZ世代にあたります。
人の価値観や行動選択は、その人が育ってきた環境や時代背景が影響するので、仕事への価値観やライフスタイルの優先順序は、30代のあなたとは違っても当然です。それでも歳が近い30代のあなたこそが理解者となり得る存在ではないでしょうか。
世界ではZ世代が人口の30%を占め、デジタル化が進む中、彼らを知ることが今後の社内人材育成の鍵となる以上、理解者となれる30代への期待は膨らみます。
Z世代はパソコン以上にスマホで何でも処理する能力を持ちますが、その一方で、直接対話に慣れていないぶん、消極的に思われがちです。でも、決して成長欲がないわけではなく、むしろ真面目な印象があります。これからの不安定な時代をどう生き抜くかを真剣に見つめ、自分の個性や自分らしさを大切にしたいがゆえに、プライベートと仕事を明確に線引きしたがる人も多くいます。好感が持てるのは、心にシフトした生き方を求め、企業の人権尊重経営や持続可能な開発目標(SDGs)に関心を示すのもこの世代です。仲間と一緒に成長したい彼らは一人だけ褒められて目立つより、さりげなく褒められることで心が満たされるのでないでしょうか。逐一聞いて来るのも、役立ちたい思いからかもしれませんよ。そこに感謝の言葉を添えることから始めてみてください。(コミュニケーション専門カウンセラー 高﨑美佳
〈連絡先〉カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)