【今日は心の日曜日(82)】離婚問題を考える㊤
「駐在地まで来て、夫婦でけんかが絶えません。結婚して3年、子どもが1人おりますが、ふと離婚について考えることがあり、このままだと危ないと感じています(30代妻)」
お互いに「ずっと一緒にいたい」「幸せになろう」と思って結婚したはずなのに、離婚という結末を迎えるご夫妻が大勢います。夫によるDVなど離婚した方が良いと思うケースもありますが、私のクライアントでも、もっと早くに対策を取ったら離婚せずに済んだと思う事例がたくさんあります。
質問者が弁護士でなく私に相談するのは、夫婦関係を修復したい思いがあるのでしょうから、取り上げてみました。ただ、質問者の状況も分からないまま、的外れな回答は避けたいので、私のカウンセリング現場で最近目立つ傾向と分析、夫婦関係の修復に役立つアドバイスを何回かに分けて連載したいと思います。
人生には3つの離婚危機があります。①結婚して5年以内の「こんなはずではなかった離婚」②結婚して10~15年の蓄積した夫婦間のズレに耐えきれずに起きる「いいかげんにして離婚」③定年後、子育てを終えてから起きる「もういいでしょう離婚」です。
以前は、離婚は女性の側から申し立てることがほとんどでした。それまで女性が一方的に我慢することで離婚しないで済んでいたケースが、女性も自分らしく生きようとする意識変化の中、妻から離婚を切り出すようになりました。悩み抜いた末に離婚を切り出す妻に対して、全く気づかないでいた夫という構図があり、ある日、突然、妻子が出て行き、離婚を切り出されるのは夫でした。
ところが、この10年で、ある日突然、離婚を切り出す夫が目立つようになっています。30代までの若年世代の夫婦でその傾向が顕著でしたが、最近は40代の夫婦でも見られ始めています。
12年前にカウンセリングルームで、当時の日本の高校生たちの自己肯定感が各国と比べて非常に低いというデータを取り上げ、不登校やひきこもりに対処していましたが、その前後の世代が自己肯定感が低いまま大人になって結婚したと仮定したら、今の状況をきわめてクリアに説明することができます。続く。(家族関係心理士/心理カウンセラー 高﨑美佳)
〈連絡先〉カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)