【今日は心の日曜日(83)】離婚問題を考える㊦
前稿で12年前の調査で自己肯定感が低いとされた高校生たちがそのまま大人になれば、人間関係に何かしら悪影響を及ぼすと触れました。自分を好きになれず、自分の個性を尊重できず、自分を理解できなければ、他者を理解することは到底できないからです。
人間は本来、自分軸で考える生き物で、自己本位になりがちです。夫婦という親密な関係であればあるほど、相手を愛するあまりに所有欲を覚え、思い通りにならないと苦しくなります。愛憎は背中合わせです。
恋愛中は相手の良い所を見ますが結婚したらチェック目に変わり、「自分のことだけしている」「何も手伝ってくれない」「相談相手にもならない」「ワー嫌だ」と思い詰めていくうちに、嫌悪し始めます。
相手に問題がある場合でも、離婚を考える場合は一度冷静になり、二人の関係を見つめ直すことをお勧めします。
離婚の危機を迎えたことは、夫婦の新しいあり方を再デザインする好機です。乗り越えた暁には人生に喜びをもたらすことでしょう。最終的に離婚をすると決めたとしても、この夫婦生活がなぜ破綻したかの学びがあるはずで、それに気づけば、今後の生活に役立てることができます。
夫婦問題には時代背景が絡んでもいます。高度経済成長期の父親は家を留守にしがちで、子どもにとっては霞の向こうの存在でした。その子どもたちが父親になると、「自分は父親との関りがなかったから、子どもとどう向き合えば良いのかイメージが湧かない」と口を揃えます。
「二人の関係を回復させるためのカウンセリングシート」をご紹介します。①相手の長所②相手の好きなこと③相手にしてもらったこと④相手にしてもらっていること⑤相手にしてあげたかったことで、まだしていないこと⑥相手との思い出、協力してやったこと⑦相手と良い関係に戻れたら、一緒にやってみたいこと——。以上を毎日10分間、書き続けると自分の相手への見方が変わり始め、感情が湧いてきます。夫婦関係は情を交わすことと、一緒に時間を過ごすことで良好な関係を築けます。二人で一緒にしたことは二人だけの記念碑であり、絆を感じられることでしょう。愛とは相手を慈しむこと、与えることなのです。(家族関係心理士/心理カウンセラー 高﨑美佳)
〈連絡先〉カウンセリングルーム「ミカモーレ」fc.mikamour@gmail.comまで。