新たな人生の門出と出会う ジャカルタ最古の市場 パサールバル

 1820年に開設され、約200年の歴史を持つジャカルタ最古の総合屋外市場というパサールバル。東南アジア最大級のモスク、イスティクラル(中央ジャカルタ)から徒歩10分ほどの距離にある。今年9月にはジャカルタ特別州政府によって歴史文化保護地区に指定された。歴史保存と再開発が同時に進み、過去と現代が交差するこの地区で新たな人生の門出に立ち会うこととなった。

 イスティクラルから歩くと最初に目に入るのは1912~1929年に建設されたとされる「pos bloc」。旧郵便局を改装し、現在では若者が集まる場となっている。以前訪れた時はこの建物にスターバックスが入っていたが、パン屋さんに取って代わっていた。写真スポットとしても有名なスターバックスが無くなっていて少し寂しくなったが、建物の奥へ進むとなにやら改装中の様子。服飾雑貨や飲食店などを運営する中小企業がテナントの準備中で、コンサートステージも建設していた。国内ブランドを応援しようと再開発が進んでいるのだろうか。それならば仕方がない。
 旧郵便局を後に先へ進むとパサールバルの玄関口が見えてくる。門の看板は旧字体で「passer baroe」と表記されておりオランダ統治時を彷彿とさせる。
 まずは腹ごしらえ。1957年創業のレストラン「bakmi gang kelinci」でバクミー(肉団子入りそば)を完食。露店に並ぶ雑貨屋さんや果物を見て回り、1950年代から続くアイスクリーム屋さん「tropic restaurant」で一息ついた。賑わっているモールへ行くと目が回るほどの古着が売られていたり、薄暗い地下に勇気を出して足を踏み入れると、そこにはミシンと縫子がずらりと並んでいたりした。ミシンで見事な刺繍を入れていた男性に話を聞くと、1着40万ルピアで好きなデザインの刺繍を入れてくれるという。今度、注文してみようかと思った。
 モール近くにある教会「GPIB Pniel Jakarta」へ入ると受付に女性が2人。女性のかっこうや机の紙を見た瞬間、今から結婚式が始まると悟った。教会の写真を撮りたかった私は受付の女性、ディアナさんに式が始まるまで教会内を探索してもいいかと聞くと快くオッケーを出してくれた。美しい讃美歌の予行練習に耳を澄ませながら写真を撮り、ディアナさんにお礼を告げ帰ろうとしたら「結婚式に参列したい?」と聞かれた。見たいに決まっている。なんだったら誘ってくれないかと密かに思っていた。すぐに「いいの? 見たい!」と返事をした。花嫁はディアナさんの妹さん。新郎新婦入場の際、身内だけの結婚式に全く知らない外国人の私を見て、参加者は心底怪訝な驚いた顔をしていたがすぐに受け入れてくれた。
 ディアナさん家族は私の名前を呼び、「真ん中で写真を撮りなよ」と懐の広さにこちらが困惑するほど声をかけてくれる。新郎新婦の新たな門出と家族団らんの幸せなひと時に参加させてもらい、幸せのお裾分けをもらった日となった。(青山桃花、写真も)

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