鮮魚求め北ジャカルタへ パサール・イカン・モデルン 活気あふれる魚市場
「水揚げされたばかりの魚を食べたい!」。思い立ったが吉日、前から気になっていた北ジャカルタ・ムアラバルにある魚市場「パサール・イカン・モデルン」に行ってみることにした。衛生面は大丈夫か、治安は悪くないのか、と不安もあったが、実際に訪れてみると想像を上回る〝収穫〟を得た。
市場に訪れたのは午後4時ごろ。人の姿はまばらだったが、午後8時ごろになると大勢の買い物客でごった返す。市場は大忙し。とても賑やかになる。
市場で買った魚介類は2階のフードコートで調理してもらえる。そのため、卸売業者やワルン(屋台)などで働く人以外にも、ここには今すぐ海鮮料理を食べたい市民も集まってくる。
さらに、注目したいのは市場で働く人たちの積極性だ。「新鮮なカニはいかが? まだ生きてるよ!」「イカ2㌔買ってくれるなら安くするよ!」「うちの店に調理は任せな!」などと四方八方から声がかかる。オフィス街などで買い物をするのと違い、市場の活気を感じながら新鮮な海産物にたどり着く。
ただ、気をつける点もある。市場なので1匹単位の小売はしない。基本は1㌔単位となるが、店によっては500㌘単位での買い物も可能だ。また、市場の床は濡れていて滑りやすいところもある。海の臭いがサンダルに染み付いてしまうのも要注意だ。
魚介類を物色していると、仲卸人のエコさんが「この生きの良いロブスターはティミカ(パプア州)で、こっちのシャコはジャカルタ沖で獲れたものだよ!」と声をかけてきた。
当初は新鮮な魚を買う計画だった。しかし、普段食べる機会が少ないロブスターとシャコに魅力を感じ購入することに。手に入れたロブスターは500㌘で17万5千ルピア、シャコは500㌘で6万ルピアだった。
市場を一周して調達したばかりのロブスターとシャコを2階のフードコートに持っていった。調理方法は焼き物、炒め物、揚げ物、茹で物となんでもやってくれるが、漁師やフードコートのおばちゃんの意見を参考にするのも手だ。最終的には、おすすめに従って茹でた後にチリソースで和えてもらった。
調理代は方法や分量によって異なるが、1㌔あたり3万ルピア前後。白米やカンクン(空芯菜)の炒め物料理なども追加で注文することもできる。
また、市場では勉強になることもあった。漁師に「この魚の名前は?」と聞くとインドネシア語で魚の名前を教えてくれる。印象的だったのは、例えばアカマンボウはインドネシア語で「イカン・ブラン」というらしい。日本語に直訳すれば「月の魚」。このような学びがあるのも面白い経験となる。
新鮮な魚介類を使った料理をその場で味わえるのがこの市場の魅力であるが、何より活気あふれる市場で働く人たちの笑顔が輝いて見えた。「今度はカニとタイを食べに市場を訪れよう」と心の中で誓い帰路に着いた。(長田陸、写真も)