独立記念日を祝福 大統領、踊る イスタナ
77回目の独立記念日を迎えた17日は、中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)で記念式典を取材した。今年は3年ぶりに一般国民も参加。自撮りを楽しむなど一般席は〝お祭りムード〟。もっとも東カリマンタンへの首都移転計画が動き出しており、2024年の独立記念式典は新首都「ヌサンタラ(群島)」で行う予定だ。つまり、ジャカルタでの式典は生誕496年となる来年が最後になる可能性がある。
コロナ禍の真っ只中となった20~21年も式典はイスタナで行われたが、新型コロナウイルスの感染対策で政府高官や来賓の多くはインターネットを通じオンラインで参加。一般国民向けに式典の様子はテレビや動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された。
式典は「メラプティ(紅白の国旗)」の掲揚を行う午前の部と、国旗降納を行う午後の分に分かれている。地元メディアによると、今年は計約5000人の一般国民が参加した。
3年ぶりに大勢の人が参加する式典となり、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領や閣僚らが座るひな壇は赤色と白色の花で飾られた。また、ジョコウィ氏は東南スラウェシ州の民族衣装「ドロマニ」を身にまとうほか、閣僚や一部来賓も思い思いの民族衣装を着用。祝福ムードが高まっていた。
式典では、参加者全員が起立して国旗掲揚。国家「インドネシアラヤ」や愛国歌「ハリ・ムルデカ」などを斉唱した。
それを踏まえて全国各地の伝統舞踊、国軍と国家警察による合同パレード、巨大な国旗を掲げた空軍ヘリの展示飛行、F16戦闘機が数字の「77」を描く編隊飛行が披露された。中でも会場を盛り上げたのは東ジャワ州バニュワンギ県出身のファレル・プラヨガさん(12)のコンサートだった。
ファレルさんのずば抜けた歌唱力はSNSで人気。ジョコウィ氏もいる主賓席の前で、ジャワ語のラブソング「オジョ・ディバンディンケ」を披露した。
大統領のほか、プラボウォ・スビアント国防相やエリック・トーヒル国営企業相などの一部閣僚らが歌に合わせて踊っている姿がSNSで話題となり、地元メディアでも大きく取り上げられた。
今年の独立記念式典のスローガンは、コロナ禍で停滞した経済の復興を目標に掲げた「より早く回復し、より強く立ち上がる」だ。短文投稿サイト「ツイッター」でジョコウィ氏は「式典は厳粛かつ円滑に行われた。77回目の独立記念日を盛大に祝った国民に感謝を申し上げる」と振り返っていた。
24年10月に任期を終えるジョコウィ氏。今年に入り国会で首都移転法案を成立させ、移転を5段階に分けて行うことを明記した大統領令(22年第63号)を4月に公布した。任期満了を意識してか、ジョコウィ氏はコロナ禍で停滞した移転計画の整備を急ぐ。
新首都で最初の独立記念式典を主催する大統領を目指すジョコウィ氏。現地はまだ森林地帯でその様相は想像の域を超えるが、その日まであともう2年だ。しっかりウォッチしていきたい。(長田陸、写真も)