動き出した観光地開発 外国人観光客の姿も 西ジャカルタ・コタトゥア
ジャカルタ特別州を代表する観光地の一つである西ジャカルタのコタ・トゥア。アニス・バスウェダン知事とエリック・トーヒル国営企業相が2021年4月、この地域一帯を観光地として活性化させようという計画がようやく動き出した。これに伴う工事が活発になったと聞き、足を運んでみると改良工事が至る所で行われていた。
最初の目的地はコタ・トゥア地区内にあるファタヒラ広場。広場にはオランダ統治下のバタビア時代に使われた市庁舎や裁判所など歴史的建造物が多く残る。
広場へは日曜の朝、中央ジャカルタ・メンテンの自宅からバイクで向かった。コタ・トゥアが近づくにつれ大量高速鉄道(MRT)の建設工事が進むほか、歩道の改良などが行われており、道幅が狭くなって日曜の朝にもかかわらず、交通渋滞が発生した場所もあった。
なんとか渋滞を抜け、バイクを駐車場に停めてファタヒラ広場に向かうと欧米から来たとみられる外国人観光客の姿が見えた。広場の端に座っていた学生や家族連れが外国人観光客の姿を見ると一斉に彼らを囲む。写真撮影を求めたり、地元の学生は授業の一環だろうか、動画を撮りながらインタビューをしていた。コロナ禍前によく見かけた光景がそこには広がっていた。
ファタヒラ広場を見渡してみると、1880年台から現代にいたるインドネシア人芸術家の絵画や内外の陶磁器を展示するジャカルタ絵画陶磁器博物館の前に壁。一見、博物館は閉鎖中のように見えたが、どうやら工事現場を広場中心から見えないようにしていただけだった。過去にレバラン(断食月明けの大祭)の時に同博物館を訪れたが、開館していなかった。そのリベンジも兼ね入ってみることにした。
博物館の職員、アストゥリさんに話を聞いてみると「昨年10月から開館しているけれど、1日当たりの来場者数はコロナ禍前と比較すると大幅に減っている」という。そこで来場者数を増やそうと、館内で陶器を作る体験型講座を設けたのだ。
アストゥリさんは「今は博物館の展示物を見にくるのではなく、陶器作りを目的に博物館へ訪れる人が多い。コロナ禍で離れた観光客はなかなか戻って来ない。観光客を呼び込むためには体験型講座を設けるなど、新たな試みを実施する必要がある」と語る。
正午が近づくにつれ日差しが強くなった。自宅に帰ろうと思ったが、同僚が「いわゆる中華街のパンチョラン通りに新しい〝牌楼〟(門)ができた」と話していたことを思い出した。
せっかくなので向かってみると、その門には「ようこそ グロドック・パンチョラン地域 チャイナタウン・ジャカルタ」と彫り込まれていた。以前は何もなかった場所に立派な門が建設されており驚いた。ゲートを通過すると外国人観光客の姿が。ここでも開発が進み、観光客で賑わっていた。
コロナ禍となり3年目に突入した。コロナの感染が初確認された2020年3月当時と比較すると国境を越えた人の往来も街中の人流も増加している。州政府はコタ・トゥアを観光地として再整備することに注力し、観光客の呼び込みに躍起だ。観光開発やインフラ整備が終わった後、新しく生まれ変わるコタ・トゥアが楽しみだ。(長田陸、写真も)