眩いネオンに魅せられて 感染確認から2年 時代の変質を実感

 ジャカルタに渋滞が戻り、夜の街にネオンが灯る。徐々にだがそんな手応えを感じ始め、2月最後の金曜日、夜景写真を撮り歩いてみた。赴任とともに始まった新型コロナ問題。活気あふれる時期を知らず、なんとも比較は難しい。だが、コロナ禍の閉塞的な日々とは違い、人々の目には生気を感じる。時代に変質を迫るコロナショックに挑む次世代の粘り強さを見るようだ。  

 ジャカルタで夜景の定番といえば、スディルマン通りの摩天楼。ただ、車もバイクも駐車場所の確保が難しく、移動の足は公共バス・トランスジャカルタにした。降り立ったのはドゥク・アタスの停留所。時刻は午後4時半と退勤ラッシュには少々早いが、南へ向かう渋滞が始まっていた。
 もっとも、かつての「空港まで2時間」といった身動きができないコロナ禍前の渋滞ではない。車の流れは止まっておらず、午後6時にはほぼ解消していた。
 日系企業が多く入居するミッドプラザ周辺まで歩くと、すっかり日が落ちて眩い摩天楼の夜景が広がっていた。緊急活動制限が引き上げられ、一般企業の出社率は50%。照明が灯るオフィスは限られるが、それでも美しい夜景はこの国の発展に力強さを感じさせる。
 ただ、交通量は増えつつあるが、路上に息づく庶民の末端文化は冷え切ったままのよう。自転車で飲み物を売るエコさん(18)は、「人は戻りつつあるけど、写真を撮るだけ。すぐに立ち去ってしまい、飲み物まで買ってくれない」とため息をつく。一方、前身を銀色にペイントして歩道橋で物乞いをするアディさん(17)は眠りこけていた。「恵みは少なく、空腹で疲れちゃった」と言ったまま再び目を閉じた。
 一方、ブロックMに足を伸ばすと、驚くことに飲食街が交通混雑を起こしていた。新型コロナウイルスの国内初確認から2年。コロナ禍の中でこんな光景を見ただろうか? 駐車場所を探す車があふれ、飲食店前には空席待ちの客が並んでいた。
 腰を据えて観察してみると、到着した午後7時過ぎは人の流れに勢いがある。そして午後8時過ぎには早くも退潮ムード。営業時間の制限がある中、滞在時間は短いようだ。
 また、圧倒的多数はインドネシア人で、客層は裾野を広げている。日本料理なら高級店が手堅く客を集める一方、増え始めた客単価が低い地場の後発隊が中間層以下の需要に応えている。いわば、二極化が進んでいるようだ。
 一方、同じブロックMの屋台街も大賑わいで、客は食事の場所もなく料理を片手にうろうろ。午後10時前でも客足が途絶えなかった。
 行き交う市民をかきわけ、見つけたのは敷き詰めたバティックに料理を並べる、こぎれいな屋台。なんでも料理好き仲間で立ち上げたスンダ料理の屋台で、リーダーの女の子は「美味しい料理でみんながハッピーにしたい」とニッコリ。とはいえ、支払ってみると4万ルピア近く、屋台としては利益率が高そうだ。
 新型コロナウイルス感染の初確認から約2年。夜のブロックMも、時代の変質を迫られているようだ。(長谷川周人、写真も)

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