危ない言葉がけ (46)
「リモート勤務に変わり、家内が子どものしつけができていないことに気づきました。小学校高学年なのに片付けもできず、自分から宿題もしません。これまで家内が甘やかして来たからでしょう。私が注意すると、不貞腐れて子ども部屋にこもってしまいます」
お子さんの行動をよくしてあげたいとお思いなのでしょうが、問題だけに焦点を当てても、良い方向には変わらないものです。お子さんを変えることに必死になるよりも、親が変わることの方が早いです。親の何を変えるかというと、子どもへの接し方であり、言葉がけです。親自身が、我が子にどんな言葉がけをしているかを見直す必要があります。
もう一つ、見直すのは奥さまとの関係です。質問の文面から子育ては奥さまの役割と決めつけているふしが見受けられます。そこに根本的な問題があります。子育ては、夫婦が一緒にすることです。自分だけに任されて、奥さまはお困りなのではないでしょうか。夫婦が互いに助け合い、相談しあう関係ができてこそ、子どもの健全な心育、生活習慣の改善へと進みます。
リモート勤務で気づいたとのことですが、週末はどうお過ごしですか? 週末も奥さまとお子さんだけで過ごしているとしたら感心しません。お子さんの学校行事や友人関係の話にも、耳を傾けていますか? 父親は子どもと一緒に遊び、失敗や困難を乗り越える姿勢を子に見せることが大切です。問題の原因が奥さまにあると思われている間は、残念ながら状況は改善しないでしょう。
お子さんが不貞腐れるのは、よくある反抗期の問題ではなく、関りが少ない父親への「自分を見て欲しい!」というシグナルかもしれません。注意だけでは、お子さんは愛されている実感が湧きません。
ただ、愛する技術の習得は一夕一朝にはできません。ここでは応急処置として、見直すべき「危ない言葉がけ」の例を紹介します。①否定の言葉(切り返す言葉)「でもね、だけどね、それだとね」②号令・指示・チェックの言葉「やったの? まだなの? 早く、きちんと、ちゃんとして」③義務感を与える言葉「こうあるべき」——。
これらの言葉を頻繁に使うほど子どもは気分が悪くなります。萎縮し、意欲が失われ、ますます行動できなくなります。しっかり者で管理意識が強い親ほど気をつけましょう。(コミュニケーション専門カウンセラー 高﨑美佳)
本稿へのご質問などは、カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail,com)まで。