自然の中でサイクリング ボゴール植物園での休日
「自然の中でサイクリングがしたい」。そうインドネシアの友人に告げると、西ジャワ州にあるボゴール植物園に行くことを勧められた。ジャカルタに来てまだ日が浅く、ボゴールにある大きな植物園の存在こそ知っていたが、詳しくない。いい機会だと思い、行ってみることにした。
中央ジャカルタから植物園までは車で約50分。コロナ禍で交通量も少なく、高速道路を利用するとあっという間に到着した。
園内にある駐車場からすぐの場所にレンタルサイクルショップがある。日本の「ママチャリ」に似たシティサイクル、マウンテンバイク、電動アシスト付き自転車が用意されていた。1時間のレンタル料は、それぞれ2万5千、3万、4万ルピア。少し割高なような気がしたが、腹をくくり、乗り慣れているマウンテンバイクを選んだ。
いざ走り出してみると、園内では高低差が激しいことに気がついた。下り坂では自然を満喫しながら風を感じることができ、とても気持ちがいい。一方、上り坂はかなり疲れて汗だくになる。電動アシスト付きにしておけばよかったと思いつつも、いい運動になったと思う。
疲労感が溜まっていく中、道沿いにヤシの木が並ぶエリアにやって来た。道はきれいに舗装され、人は誰1人いない。聞こえるのは風の音だけ。そんな非日常感を味わいながらサイクリングを楽しんだ。
休憩がてら園内にあった丘の上のカフェに寄ってみた。のんびり自然を眺めながら食事をすることができた。頼んだメニューは、フルーツジュースとアイスクリーム付きのピサンゴレン(バナナの揚げ物)とサテ(串焼き)。上品な味付けに舌鼓を打ち、至福の時を過ごした。園内にはシャツや木製食器を売るお土産ショップもあった。
休憩を終え、再びサイクリングを楽しもうとしたその矢先、ぽつぽつとまさかの雨。仕方なく、引き返すことにした。
レンタルサイクルショップに戻ってみると、駐輪場にある自転車の数がほとんど変わってない。受付のハサンさん(27)は、「今日は自転車をレンタルする人がほとんどいなかった」という。ハサンさんによれば、土日は家族連れやカップルなどで賑わうが、行動制限の強化を受け、客足は一気に遠のいたという。
ただ、発想を転換すれば、来園者が少なければ、密状態とは無縁の安全地帯。自然とは縁のない都会暮らしから逃れ、自然に囲まれた園内散策で心身ともにリフレッシュ。とても有意義な休日が過ごせたと思う。国鉄(KAI)のボゴール駅からも近く、運動不足に悩んでいる、自然を満喫したい——。そんな人たちにおすすめの場所だと考える。