国産コーヒー豆を楽しむ 南ジャカルタでカフェ巡り
若者の間でカフェがちょっとしたブームとは感じていたが、どこに行けばカフェ巡りを楽しめるのだろう? まずは南ジャカルタのチプテ・ラヤ通りへという話を聞き込み、実際に訪ねてみた。
モダンな自転車ショップが隣接する「Dua」は、2016年オープンのおしゃべりを楽しむ客でにぎわうカフェ。完全分煙された広い店内には、ラテアート大会のトロフィーが幾つも並ぶ。
笑顔で迎えてくれた店員、ジョシュアさん(24)は2年前、東京、大阪、京都のカフェを見て歩いたという。そこで自分のバリスタ人生に重ね合わせた「いきがい」という日本語が気に入ったと繰り返し話した。
次に見つけた「TUKU」はこじんまりとしたコーヒースタンドだ。シンプルな店内は客が途絶えることがない。
お客さんと親しげに話すバリスタのレリさん(25)に話しかけてみた。「店のコンセプトはエコロジー」。アイスコーヒーのカップを重ねて持ち運べるエコバッグや、繰り返し使えるステンレス製のストローも販売していた。自国のアイデンティティーを守りたいという店主のこだわりから、取り扱うのはコーヒー豆から砂糖まで国産だ。
カフェの看板をあちこちで見かけるチプテ・ラヤ通りでひときわ目を引いたのはレトロなバス。この日がプレオープンというカフェ「KLASI」は、その名の通りクラシックをコンセプトに、77年式のバスをくつろぎの空間に改造したお店だ。
店主のランディさん(25)は、19年に日本を訪れた時にバスを改造したお店を見つけ、その発想に我が意を得たという。帰国後すぐに知り合いから古い日産のスクールバスを買い取ったという行動力には驚かされた。正式オープンは12月という。
インドネシアのコーヒーと向き合い続ける日本人もいる。少し離れたチランダック・タウン・スクエアのフードコートでコーヒーショップ「JAKO FUN Cafe」を営む高田琢元さん(74)だ。
高田さんはジャコウネコのフンから作るルワックコーヒー(コピルアク)に興味を持ち、アチェ州まで足を運んで研究した。中でも野生のジャコウネコから作られるワイルド・コピルアクに注目。こだわりの焙煎で、柔らかくフルーティーな香りが引き出されたコーヒーを提供している。
飲み比べさせてもらったワイニーコーヒーもほかではなかなか出会えない一杯だろう。アチェ・ガヨの豆を1カ月かけて乾燥させてワインのように発酵させると、マイルドで飲みやすく、ほどよい渋みを帯びたコーヒーになる。
高田さんは、コーヒー豆を混ぜ合わせて好みの「自分ブレンド」を作るというアイディアを勧め、また古くなって酸味が増した豆もフライパンで焙煎すればまた美味しく飲めると教えてくれた。
インドネシアのコーヒー豆の生産量は世界4位。輸出量で見れば5位だ。しかしながら国産コーヒーで勝負するお店を訪ね、この国はコーヒー産地として誇れるポテンシャルが充分にあると感じた。