活気取り戻したアメッド 夕日のアグン山望み バリ島東海岸
アグン山の噴火で一時は観光客が激減したバリ島東海岸のアメッド。噴煙が立ち上ることもなくなった今、以前の活気を取り戻したというアメッドを再び訪れた。
今回泊まったのは全8室の「アメッドロッジ」。再生木材を使用した木造のコテージは日本の伝統家屋のように太いはりが張られたアンティーク調で、この辺りでは異彩を放っている。目の前のビーチでは左手に少し歩いただけで夕日の沈むアグン山を、右手の水平線には朝日を仰ぐことができる。
「8月は毎日満室になるなど、噴火が収まって以来好調です。アメッドは一昔前のクタビーチのような場所。ダイビング客だけでなく、騒がしいバリ南部とはがらりと異なる素朴な雰囲気を求めてやってくる人たちが増えています」とアメッドロッジのアンドリーさんは話した。
日の出前にビーチに出ると帆を立てた釣り船が水平線に無数に見えた。毎日午前5時ごろカツオ漁に出て、午前8時には戻るという。見ていると観光客を乗せて戻ってきた船もあった。
日が高くなると、今度はダイバーたちを乗せた船が行き交うようになった。目を凝らすとシュノーケリングのグループが波間に見えた。カヤッキングやパドルサーフィンをしている人もいた。
ロッジから1キロほどの丘の上にあるカフェに向かった。ここはアグン山とその向こうに広がる夕焼け空を望むアメッド一番の展望スポットで、すでに100人近い人たちがサンセットを待っていた。しかし辺り一帯にはリゾートホテルが立つ予定だという。そうなればこの場所はホテルに独占されてしまう。
この十数年の間でアメッドには観光施設が大幅に増えた。アグン山噴火の影響はほんの一時期だったとアンドリーさんは笑顔で話すが、ビーチで聞こえてくるのは優しい波音だけのアメッドであり続けてほしいと思った。(北井香織、写真も)
◇AMED LODGE
住所 Jl. Raya Amed, Karangasem, Bali
☎︎ 0363・2787651
ウェブ www.amedlodge.com