血と汗の闘い 暗がりの違法闘鶏
跳び蹴り、かみ付き、踏みつけ……何でもありの違法の闘いが毎週末、東ジャカルタの伝統市場の薄暗い一角で繰り広げられている。男たちが金を託し、大声で叫ぶ先で血を流すのは2羽の軍鶏(しゃも)だ。
軍鶏は約2メートル四方に囲われた闘技場で闘う。その回りには金を賭けた男約50人が群がり「行け! やれ! そこだ!」と叫ぶ。片方が力尽きると歓喜と無念の声が入り乱れる。午後1時から同7時ごろまで延々と闘いが続き、1勝負ごとに熱さが増す。少しでも前で見ようとするから、観客は汗だらけだ。
観客は胴元に場所代として1試合2万ルピア、1日全ての試合に参加するなら10万ルピアを払う。
インドネシアでは賭博はご法度。例外的に闘鶏が認められているのはバリ島で行われる儀式だけ。ここでは堂々と行われているが、市場管理者によると、「見回りに来た警察官にガソリン代として3万ルピアそこそこ渡せば、見逃してもらえる」という。
最近は取り締まりも厳しくなり、参加者の1人は「ここもいつまでもつだろうか」と話した。(堀之内健史、写真も)