イスタナ望み、自然に触れる 両陛下ご訪問の地へ ボゴール植物園
昨年6月に来イされた天皇皇后両陛下が、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の招待で訪問された西ジャワ州のボゴール植物園内にある大統領宮殿(イスタナ・ボゴール)。ランを鑑賞され、イスタナ中庭で植樹もされた。そんな、両陛下が楽しまれたボゴール植物園に興味を持ち、初めて訪れてみた。
午前10時。中央ジャカルタ、ゴンダンディア駅から首都圏専用電車(KRL、コミューター)に乗り込む。この日は金曜と平日だったが、ボゴール行きの電車には、チカラン線と接続するマンガライ駅から家族連れがどっと乗り込んできた。土日をボゴールで過ごす予定らしい。
KRLの車両は日本から輸入された中古車両。馴染みのある柔らかな座席で揺られ、2時間ほどでボゴール駅に到着する。植物園までバスに乗ってもいいが、時短にもなるバイクタクシーを呼んだ。料金は15万ルピアほどだ。植物園の入り口は4つあり、駅から最も近い第2ゲートから入るのが便利そうだった。
到着後、まず確保したいのは園内を回る移動の足だ。面積は80㌶。東京ドーム約16個分の広さを徒歩で移動するのは厳しい。幸い、入り口ゲート近くで貸し出しブースを発見。自転車や電動キックボード、カートなどがあり、スタッフのお勧めはマウンテンバイクだった。1時間2万ルピアとお手頃価格だ。が、喜ぶのもつかの間、借り出してはみたもののメンテナンスがずさん。サドルの位置が合わず、厳しい姿勢でペダルを漕ぐことになり、明日以降の筋肉痛を覚悟した。
足を確保できたら、広い園内を回るための腹ごしらえのために、園内のレストラン「raasaa」へ。丘の上にあり、テラス席からは庭園やピクニックエリアの芝生を一望できる。レストランの中庭ではフォトジェニックな景観をバックに「イブイブ(ご婦人)たち」が自撮りをしていた。
注文したのは植物園の名を冠した「ナシゴレン・クブンラヤ」。オーソドックスながら、ほんのりと甘みがサンバルの辛さとマッチするナシゴレンに舌鼓をうつ。海鮮の付け合わせやサテアヤム(焼き鳥)も美味だった。レモンティーと合わせて11万7000ルピアほどと少々お高めだが、その価値は十分にある。
食後は軽く園内を流す。辿り着いたのは植物園のアイコンにもなっているイスタナ・ボゴール。宮殿近くの池にはオオオニバスの花が咲いており、イスタナの白に映えている。周りに人影はなく、自分1人だけ。池のそばに腰掛け、蓮の花を見ながらしばしたたずんでいた。
植物園が設立されたのはオランダ統治時代の1817年。オランダ東インド会社の管轄下で植物の栽培研究をする施設として使われていた場所が、今は地元民や観光客に愛される憩いの場に。歴史を乗り越え、「いいものはいい」と受け入れるインドネシアの懐の深さに感服する。(山本佑、写真も)