プラボウォ政権への布石

 レバランも明け、政界の動きも活発化しそうである。まず今月22日には、憲法裁判所が審議してきた、大統領選挙に関するアニス候補とガンジャル候補の異議申し立てへの最終判決が言い渡される。両陣営は、プラボウォ候補にジョコウィ大統領の息子のギブランが副大統領候補として出馬できたことを問題視し、ギブランの資格剥奪を求めてきた。ガンジャル陣営は、さらに選挙のやり直しも訴えている。
 おそらく判決では、異議申し立ての一部は認められる可能性はあるものの、ギブラン失格や再選挙といった訴えは判事から見ても政治混乱のリスクは高く、却下されよう。その判決を待って、プラボウォ次期大統領の政権構想が本格化していく。
 その中心課題は、次期政権での連立与党形成だ。選挙でプラボウォを推した政党で、次期国会に議席を得たのは自党のグリンドラ党、ゴルカル党、国民信託党、民主党の4党。彼らは国会の全580議席中280議席(占有率48%)を有す。
 当然この状況では、政府方針が国会で抵抗される可能性も高い。その回避のために、アニスとガンジャル陣営の政党を与党連合に引き込みたい。その交渉が水面下で活発になっていく。
 狙いは「ほぼオール与党」体制だ。結果、立法府が行政府をチェックするという民主主義の機能は形がい化するが、政権運営には都合が良い。ジョコウィ政権と同様に、プラボウォも、その与党連合の肥大化を目指すであろう。
 呼び込みにはアメが必要である。ガンジャルを擁立した闘争民主党には3つの大臣ポスト、そしてアニスを擁立したナスデム党と民族覚醒党には、それぞれ2つの大臣ポストをオファーして政権参加を誘っている。これらの3党がプラボウォ与党連合に加われば、国会では527議席(90%)を牛耳れる。
 ナスデム党と民族覚醒党に関しては、比較的楽に取り込めるとプラボウォ陣営は見ている。前者のスルヤ・パロ党首は「メディア王」として知られるが、政権参加が自分のビジネス権益の安泰に欠かせないことを痛感している。後者のムハイミン党首も、次期大統領への忠誠と政権参加こそが、自分の党首ポストを死守する術だとわかっている。
 ややこしいのがメガワティ率いる闘争民主党だ。ガンジャルや党のサポーターたちからは、ジョコウィの裏切りで出来たプラボウォ政権には参加すべきでないという声や、民主主義の健全化のためにも野党の役割を果たすべきだとの声が大きい。メガワティ自身も、ユドヨノ政権の10年間、野党の立場を貫いてきた。同党には、野党精神の文化が伝統的にも宿っている。
 しかしプラボウォ陣営は、闘争民主党の政権参加を決定的に重視している。当然、理由は、同党が国会の第一党 (110議席)であるからだ。しかし、それ以上にメガワティとの同盟が、プラボウォの「ジョコウィ対応」で有効なカードになるからである。
 つまり、次期政権の立役者として、ジョコウィはプラボウォのパトロン的存在であるが、その影響を中和化させるカウンターバランスとしてメガワティは重宝するのである。
 メガワティ周辺も、次期政権と対峙することのリスクを懸念する。それは党幹部に対する汚職調査の圧力や、11月の全国地方首長選挙における各地での選挙妨害と敗退だ。これで一気に同党の基盤は崩れる。
 早かれ遅かれ、プラボウォの巨大与党連合は実現に向けて着々と進んで行くであろう。(本名純・立命館大学国際関係学部教授)

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