頭で理解してもできない (63)
「駐在中にキャリアを積みたいと、精一杯努力しているつもりが思うようにいかず、空回りしている自分にヤキモキしています。家庭でも、もっと自発的に子育てに参加するよう妻から注意され、参っています」
現状を悪く思い過ぎないことです。むしろ、問題意識があることにこそ、成長できる伸び代があります。
「頭で分かっていても、上手くできない」「自分ではこうしたいと思っているのに、実際には違うことをしてしまう」という悩みは、多くの人が抱えているのではないでしょうか。
例えば、「自信に満ち溢れて生き生き暮らしたいのに、自分に自信が持てない」「能力を存分に発揮したいのに、実際にはできない」「自分に父親から何かしてもらった記憶がなく、子育てに関わるイメージが持てない」など、理想と現実の狭間での悩みです。
多くの人は、意識的に努力しようとする「顕在意識」で頑張ろうとしています。ところが、脳には、頑張らなくてもいつのまにかできている、無意識にやれる「潜在意識」の働きがあります。思い込み、信じ、習慣になっている働きです。就寝中も働く力です。しかも、顕在意識の働きは全体の3%であるのに対し、潜在意識の働きは97%もあり、人間の行動に圧倒的に大きな影響力を持ちます。
潜在意識は、理屈ではなく自信や直感といった感性とリンクしており、それが行動を決定しているとなると、「頭では分かっていても、実際には別のことをしている」現象が起きることになります。
脳の機能から説明すると、頭で理解しても、私たちには思考習慣・行動習慣があり、すぐに新しい行動を起こし難く、行動するためには、思考習慣・行動習慣を決めている「神経回路」を切り替える必要があります。
神経回路とは、大脳皮質の140億の細胞の一個一個に手のような突起(シナプス)が複雑に絡み合い、脳の神経の働きがネットワークになって形成されたもので、大脳皮質に入る情報は、電気信号のよう瞬時に情報を伝達します。そのため、感情の神経回路は、嬉しいことや、嫌なことに即座に反応します。神経回路の反応は、あなたそのもの。
つまるところ、人が変わるためには、顕在意識で理解する、知ることはスタートラインに立てただけに過ぎず、潜在意識と神経回路の働きを変える必要があります。潜在意識が変わることが、人が成長するための近道です。潜在意識をどうやって変えていくかの方法は、次稿でご紹介していきますね。(コミュニケーション専門カウンセラー 高﨑美佳)
≪連絡先≫カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)