第3滑走路が運用再開 スカルノハッタ国際空港 規制緩和の中
首都ジャカルタの空の玄関口となるスカルノハッタ国際空港。政府は活動規制を感染状況に応じて調整しているが、航空機の離発着はそれに大きく左右される。そこで3月から始まった空路の制限緩和を体感しようと空港に向かうと、減便に次ぐ減便で〝休眠〟していた第3滑走路がついに運用を再開していた。
年間1億人の旅客収容能力を目指す——。右肩上がりの経済成長の波に乗り、政府は2018年3月、首都空港の機能を拡充する第3滑走路の建設に着工。海上空港の建設構想も明らかにした。
しかし、同じ流れの中でジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は翌19年、東カリマンタン州への首都移転計画を提唱。年間4千万人の旅客収容能力を誇る第4ターミナルは着工したものの、移転計画に沿って建設する「新首都空港」の新設が先行しており、スカルノハッタ空港の拡張計画が揺れている。
19年12月には第3滑走路の供用が始まったが、その約3カ月後にコロナ感染を国内で初確認。航空各社は減便を強いられ、第3滑走路の運用にもブレーキがかかった。
しかし、ブースター接種の迅速化もあり、移動規制は緩和に向かった。3月に入ると隔離は1日に短縮され、一気に自由度が高まってきた。
さらに4月、入国者への到着ビザ(VOA)の発給も再開され、隔離もPCR検査もワクチンのブースター接種を条件に免除するなど、ほぼコロナ禍前に戻った感がある。
そして利用が見送られてきた第3滑走路も、トリプルセブン(B777)やエアバスA350などの大型機を中心に離発着を再開している。
3本ある滑走路の中で最も北側の第3はフェンスに近い。バイク移動では持ち歩く機材に限界があるが、第3滑走路なら超望遠レンズがなくても、コックピット内の様子が分かる程度の写真が撮れるからありがたい。
ただし、空港周辺の警備は南スラウェシ州マカッサル市で昨年3月に起きた自爆テロ事件を境に、強化されている。記者が知る限り、唯一フェンスの切れ目がある第2ターミナル前の取材ポイントは、残念ながらこの日も撮影禁止のままだった。
とはいえ、滑走路から少し離れた農村地帯なら、問題なく趣味と業務を兼ねた航空機撮影を楽しめた。来月のレバラン(断食月明け大祭)に向けて今年は多くの人がムディック(帰省)をしそうだが、昨年のような爆発感染の再発がないよう踏みとどまってほしい。(長谷川周人、写真も)