【今日は心の日曜日 (42)】破れ鍋に綴じ蓋
「子育ては日ごろ妻に任せていますが、近ごろ息子に覇気がないので、『中学生にもなるのに、子どものすること成すことに干渉するな』と妻を注意したところ、改める様子は毛頭なく、むしろ私に問題があると糾弾されます」
夫婦間の子育てに対する考え方の違いは、よくある相談です。お父さまがお子さんの変化を見逃さなかったことで、夫婦で子育てを見直す好機良いチャンスになります。お子さんが意欲的に自分で考え、決断して行動できる人間に成長して欲しいと願えば、自ら自由に選択する自主性を育くみたいところです。同時に結果に対する責任も学ばせることです。
奥さまの干渉がどの程度か分かりませんが、元々女親は我が子への愛情が強く、一生懸命。責任感が強く、しっかりした人ほど、管理が強くなりがちです。管理が強過ぎると、裏目に出ます。子に所有感を抱いている場合は特に危険です。
母親が過干渉になる要因・背景には、子育てを母親一人に任せて、父親が不在なことにあります。
子育てを母親の責任としてしまうと、母親は愛情が強いあまり、失敗させられないと気負ってしまいます。頑張るほど孤独感を抱えていき、その母親の気分が子に伝染し、子どものエネルギーを落とすとは何とも悲しいことです。
不登校になった中学生男児は「この家に主はいるのか!」と叫びました。「お父さんは霞の向こうにいるから、何を考えているのか分からない」と女児は父親をチェックするようになりました。
このように希薄な夫婦関係では、過干渉な母子関係に加え、話さず聞かずで父親には情報が入りませんから、その言動は的を得ず、子どもとの心の距離も離れてしまいます。最悪なのは子どもに関心がない場合です。ここは、奥さまにあれこれ言うより、お父さまの子育てへの介入を強くお薦めします。
子どもの問題は、子ども自身を変えようとするより、夫婦の信頼基盤を作り、子どもへの接し方を変え、家庭環境を変えていくことです。直ぐに始められる対策として、お父さまが一日30分、奥さまの苦労話を聴きつつ、今日のお子さんの情報を得てください。
夫婦は「破れ鍋に綴じ蓋」、似た者同士です。人間は完璧ではないことを受け入れ、責め合うのではなく、サポートし合うご家庭に、喜び事が訪れるでしょう。(コミュニケーション専門カウンセラー 高﨑美佳)
本稿へのご質問などは、カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)まで。