思い出のあの場所に再び タマン・ブンガ・ヌサンタラ
青空の下で思う存分〝光合成〟をしたい。コロナ禍で閉塞的な日々が長引く中、切にそう思う事がある。子どもたちにも外の空気を吸わせようと、家族会議の結果、西ジャワ州チアンジュールにあるタマン・ブンガ・ヌサンタラに行くことにした。広大な敷地に咲き乱れる花々。イメージは膨らみ、妻も弁当作りに熱が入る。この時、実は密かに考えていたことがあったが、それは現地に着いてからのお楽しみとした。
自宅があるチカランから公園まで車で約2時間。飽きてしまったのか、妻と長男3歳、そして生後4カ月の長女は夢の中へ。孤独な運転手となるが、ボゴール市を抜けてプンチャック峠にさしかかると、気温は一気に下がって窓は全開に。清々しい涼風に身を任せると、コロナ禍を忘れそうになるぐらい気持ちよく、子どもたちの寝顔に癒やされながら、目的地を目指した。
メインゲートを入ると、バラなどがいっぱいに咲く庭園風景が広がる。アジアのほか南米やオーストラリアなど各国の植物が集められた公園の敷地は、5万平方メートルと東京ドームがすっぽり入る広さがある。
公園内には日本庭園もある。大阪で4年間の留学をする機会があり、懐かしい風景だった。「例年ならサクラが9~11月に開花する」と公園の職員が教えてくれた。この日は残念ながら、花見という訳にいかなかったが、開花時にはまた来てみたい。
子ども連れならぜひ訪れたい場所がある。その名も「ラビリンス(迷宮)」。植木の迷路のような庭園があり、大人も子どもも楽しめる空間になっている。ただ、小さな子どもは迷路に隠れてしまうかもしれず、ぜひ大人と一緒に楽しんでほしい。
さて、この日の計画も終盤に入り、密かに再訪を考えていたピクニック広場に向かった。
ここは2年近く前、妻とデートをした場所だった。私は妻の前で地面に左膝をついて言った。「結婚してください」。驚く妻は「ウソばっかり」と複雑な表情。そこで差し出した。婚約指輪。「これから私の家族を紹介したい」。妻は泣き崩れ、小さくうなずいてくれた。
コロナ禍で大変な日々がこれからも続きそうだが、こんな時こそ、家族との絆を確かめ合うのも悪くないと思った。(センディ・ラマ、写真も)