部下の育成方法の見直し

 「早急に社内の人材育成を進める必要がありますが、肝心の部長クラスの指導力が弱く、伝達力に磨きをかけるよう、一人の部長を厳しく指導したところ、メンタル不調を起こし、頭を抱えています」
 責任感が強い幹部とお見受けします。最近、部長、課長クラスの心身不調が目立ちます。カウンセリングをしていると、あるパターンが見えてくるのですが、あなたの事例は大きな時代の変化が絡んでいます。
 今の日本企業の経営層の皆さんが働き盛りの中間管理職だった頃は、今ほど情報が溢れておらず、社会が緩やかなスピードで変化していた時代でした。
 この時代の仕事の成功法は、物事を論理的に思考し、優れた判断をいかにスピーディーに部下に伝達できるかが勝負でした。人は成功体験を簡単には変えられないので、部下の伝達力が気になるのでしょうが、そこは落とし穴があります。
 そういう幹部ほど部下の欠点や短所が気になり、できないことを口にし、相手を萎縮させ、自信を失わせ、意欲を摘んでしまいます。
 人にも物にも、物事にも+(プラス)と-(マイナス)があります。誰でも、長所、短所、強みがあり、それは人により違います。
 無いものに目を向け、足していこうとしがちですが、部下の足りない部分に目を向けるのではなく、強みを活かすことです。部下の能力を最大限に引き出す着眼点は、弱点ではなく強みの部分です。
 人が資産と言われる今の時代、その着眼点を間違えると、命取りになります。変えられないものは他人と過去です。変えていくべきは、私たち一人一人の相手への見方なのです。
 私は、これからの企業経営はチーム戦だと考えています。社員が健康で、一人一人の能力を最大限発揮し、一丸となれる組織だけがサステナブルに成長できると思います。
 今の時代は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)で、信じられないスピードで社会が変化しています。いかに迅速に情報を集め、その中で的確に判断できるかが求められます。部下のアイデアや閃きをくみ取り、活かすことできる、聞くことできるリーダーこそが求められる時代ではないでしょうか。
 心身不調の部長さんは、もしかしたら聞く力がある金の卵かもしれませんよ。幹部の理想像と自分の職場の現実に大きなギャップがあると真剣に悩んでいる可能性があります。
 一度じっくり話を聴いてみてあげてはどうでしょうか。互いを認め、尊重し合える職場の未来は輝くことでしょう。(コミュニケーション専門カウンセラー 高﨑美佳)
 本稿へのご質問などは、カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)まで。

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