仕上げに家族愛をひとふり スンダの味を再現
料理はその国の文化を表すというが、インドネシアは世界最大の島しょ国家。300を超える民族から成り立つ多民族文化だから、料理も地域によってさまざまだ。そこでさっぱりとした味付けが日本人にも好まれるスンダ料理から、炊き込みご飯を紹介したい。それも西ジャワ州はチカランに住む我が家流。シンプルな料理に家族愛をひとふりするのがコツだ。
スンダ語には炊飯という表現が2つあり、米を蒸すのが「ニャング」、鍋で炊き干しにするのが「ンゲリウェト」だ。炊飯器の時代だからその区分も少しずつ変わってきたが、私の家では食卓ではなく、家族で外で食事をする時などは、やはり主役はンゲリウェトだ。
白いご飯との違いは、炊き込むときに調味料を入れること。なぜだろうか? 西ジャワ州カラワン市で生まれ育ったスンダ人で、妻の母親、ダルシー(58)の説明を紹介したい。
「スンダの土地の人々は、遠い畑まで歩いて行く。昔はみんなそうだった。朝早くに家を出るのね。だから食事はお昼まで傷まないようにしないと。そこで考えたのがンゲリウェトよ。彩りも生活の知恵。もうひとつだけおかずを用意して、さあ、召し上がれ。美味しいのよ」
ンゲリウェトに欠かせないもうひとつのルールがある。それはみんなと一緒に食べること。みんなで1枚のダウンピサン(バナナの葉)にンゲリウェトとおかずを乗せ、向かい合って食べる。日本風に言うならば「車座になって」。 もしよければ、みなさんもお試しください。(センディ・ラマ、写真も)
【材料(6人分)】
白米 500グラム
塩漬魚か小魚 150グラム
水 1000cc
エシャロット 2かけ
にんにく 2かけ
サラムリーフ 4枚
レモングラス 茎1本
唐辛子 お好み
食用油 大さじ3
塩 少々
【作り方】
①材料のほかフライパンと炊飯器を用意する。
②エシャロットとニンニクをみじん切りに。
③中火で熱したフライパンに油を入れ、②とレモングラス、サラムリーフを加え、香りが出るまで炒める。
④火を止めたら油を切り、揚げたスパイスを取り出す。
⑤スパイスは炊飯器にまんべんなく入れ、塩とお好みで化学調味料を加えてごはんを炊く。
⑥炊き上がったら、塩漬魚や小魚と盛り付け。新鮮な野菜やテンペ、フライドチキンと食べるのも一般的。