ホテル隔離で嬉しい誤算も 感染再拡大の中で一時帰国

 新型コロナウイルスの新規感染者が2万人を越え、2月以来の感染拡大となったインドネシア。日本でも7月23日開幕の東京五輪を前に政府は非常事態宣言を解除。感染の再拡大を懸念する声が専門家から相次いでいる。この最中、常備薬の補充のため一時帰国する機会があり、出入国状況を報告したい。「あの時は大変だった」。いつの日か、コロナ禍に苦しむ日々を笑顔で振り返ることができるよう祈りつつ。 

 スカルノハッタ国際空港から帰国したのは6月4日。全日空の早朝便だった。チェックイン手続きを終え、最初に向かったのは国内線の出発ロビー。空路の移動制限も緩和の方向にあり、乗客が戻り始めていると聞くからだった。
 百聞は一見にしかず。時間帯によって状況は変わると思われるが。ロビーは搭乗手続きを待つ利用客であふれ、コロナ禍の中にあることを忘れそうになった。
 一方の国際線はといえば、相変わらず閑散としているが、機内に乗り込むと少し様相が違った。欧米人の乗客が多く、目分量ではあるが、座席の3分の1ほどが埋まっていた。客室乗務員によれば、北米路線の利用率が急上昇しており、ジャカルタから東京経由で北米に向かう人が増えているという。
 これに対してジャカルタに戻る復路の帰国便は、やはり乗客は悲しくなるほど少ない。家族帯同ビザが予想より早く正常化するなど、ビザ発給は数カ月前に比べてスムーズになっているが、機内を見る限りその力強さは感じられない。
 空港到着後の手続きはスピーディーになった。PCR検査の陰性証明書があれば、あとは保健省のヘルス・アラート・アプリ(e―HAC)のQRコードを提示するだけ。印刷も不要となり、検疫の最終書類確認までの待ち時間は格段に短くなったと思う。
 ただ、イミグレでの入国審査は逆に時間を要しているようだ。211ビジネスビザによる入国者が増えたためで、1人当たりの審査時間が長くなり、筆者は40分近く列に並んだ。
 とはいえ、一時滞在許可(KITAS)があれば何の問題もない訳で、悩ましいのはやはり5泊6日の隔離ホテル選びだろう。
 今回は空港近くの四つ星ホテルを隔離先としたが、インターネットへの接続環境の立ち上げで四苦八苦。業務に必要な資料の受け渡しにも保健省の許可が必要と言われ、規制は全体的に厳しくなっているようだ。
 それでも料理は温かく、朝昼晩とメニューにはメリハリがあり、しかも美味しかった。おかげで嬉しい誤算というのか、すべて完食しまうことに。密かに「隔離ダイエット」を期待していたが、もくろみは見事に崩壊してしまった。
 ゆっくりとではあるが、宿泊施設は隔離環境を厳格化させながらも、快適な滞在の維持に努力しているようだ。経営維持という事情もあろうが、現場で働くインドネシア人スタッフの誠意ある対応には、頭が下がる思いをした。(長谷川周人、写真も)

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