現地従業員の報酬

 「労働組合との交渉で、賃金アップの要求が強く、対応に苦慮しています」
 コストダウンの目的で海外進出していると、従業員からの賃上げ要求への対応には悩みますよね。今、国際社会でサプライチェーンにおける人権問題が注目されていることをご存知でしょうか。日本では環境問題が先行し、人権への取組みが遅れていましたが、企業がやっと認識し始め、企業経営の常識が大きく変わろうとしています。
 サプライチェーンで人権侵害を引き起こせば、企業イメージを損ない、投資家から敬遠されたり、不買運動の対象にもなります。
具体的には、現地の法令を遵守するだけでなく、強制労働や児童労働は論外として、全ての人が人間らしく働き甲斐のある仕事に就くことができるよう配慮することが、求められているのです。
 また、親会社は自社の問題だけでなく、サプライチェーンについても一定の責任を負い、そのことを積極的に情報発信することが求められます。
 企業は営利追及を優先し、コストダウンを徹底するものですが、今日の世界状況では、それだけでは会社の価値は保ちにくく、従業員のやる気を引き出せない可能性もあります。
 カウンセラーの視点や脳の働きの観点から追記すると、脳は報酬がお金だけだと、お金をもらえないと動けず、脳はもっと高い賃金報酬が欲しくなりがちです。賃金を上げるだけでは、会社は窮地に陥ってしまいます。
 どうしたら経営側と従業員が一丸となり、力を集結できるでしょうか。
 人間には、「認められたい」という強い欲求があるので、一人一人の社員に「やりがい」を感じさせることが重要です。仲間になることを考え、愛情ある言葉がけをしてください。
 企業の工場長を務める私の門下生は、人の心に配慮する「やる気を引き出すコミュニケーション術」を徹底し、士気を上げることに成功。結果、コロナ渦にも関わらず、業績アップを達成したと大喜びの報告をいただきました。素晴らしいことに、社長から感謝の手紙と特別手当が、従業員全員に配布されたそうです。
 トップの経営方針にもよりますが、会社のサステナビリティーを念頭に、従業員の能力を最大限に発揮させることに配意いただけないでしょうか。(コミュニケーション専門カウンセラー 高﨑美佳)
 本稿へのご質問などは、カウンセリングルーム「ミカモーレ」(fc.mikamour@gmail.com)まで。

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