空に飛行機の〝渋滞〟 息を吹き返す国内線 スカルノハッタ国際空港
首都圏の空の玄関口となるスカルノハッタ国際空港が、国内線を中心に息を吹き返しつつある。レバラン(断食月明け大祭)に向けた帰省禁止措置を前にした駆け込み需要もありそうだが、ウィズ・コロナ時代に沿った規制の段階的緩和がもたらす影響は少なくない。そんな様子を確かめてみようと4月上旬、滑走路脇から1年ぶりに大空を見上げてみた。
バイク移動は便利だが、悩ましいのは排気量を問わず、二輪車は高速道路を走れないことだ。したがって、一般道をひた走ることになるが、思わぬ掘り出し物に出くわすこともある。前置きが長くなったが、空港の北側を東西に走る道路があり、ある時、この道がちょうど滑走路の延長上にあることに気づいた。
着陸機が降下を始め、フラップを着陸モードに入れてギヤを下げる。機体は進入角を維持しながらさらに高度を下げる。そんなタイミングで道路の真上をかすめ飛ぶ。滑走路まではまだ1キロ近くあり、旅客機の風圧で三脚が吹き飛ばされるような高度ではまだない。それでも、飛行機を真下から見上げる光景は非日常的で、絶好の撮影ポイントと思った。
ただ、大型トラックも通行する三車線道路で、安全には十分に注意する必要がある。空港フェンスと車道の間に幅5メートルほどの緑地帯があるので、この中に入ってしまえば安心だ。
さて、本題の離発着状況だが、コロナ問題が深刻化したおよそ1年前は30~60分の間隔だった。しかし、三連休の真っ只中にあったこの日は、着陸機は5~10分間隔で飛来する。離陸機に滑走路を譲る時間帯は上空待機となるが、国内線の小型旅客機がひっきりなしに飛んでくる。
この状況をスマホアプリで表示させると、ジャカルタに向かって飛行機が連なり、まるで空の〝交通渋滞〟が起こっているかのよう。「ようやく空路が息を吹き返しつつある」と心も軽くなる。
一通り撮り終えたので、滑走路の真横にあるお気に入りスポットに移動した。そこは小型機ならパイロットが機首を引き起こし、機体が滑走路から離れる瞬間を真横でとらえる位置関係にある。しかも警備所の真横なので堂々と撮影ができる、はずだった。
ところが、その日はどうも様子が違う。警備員は少なくとも2倍に増えており、フェンスに近づくと案の定、その1人が声をかけてきた。「ここに立ち止まることはできない」。決して威圧的ではないが、有無を言わせない態度だ。
「以前は問題なかった」と食い下がってみたところ、「マカッサルの自爆テロ(3月28日発生)を知っているか? 特別警戒態勢を敷いている」。なるほど。テロ警戒ならば議論の余地はない。残念ではあるが、増え始めた国内線を確認できたのは収穫ではないか。そう自分に言い聞かせて空港を後にした。(長谷川周人、写真も)