都会の真ん中でゆったりランチ KAWISARI COFFEE&EATERY
中央ジャカルタ、タムリン通りの時計塔から東にクボンシリ通りを進むと、アイボリー色のカフェがある。年季が入ったお店、と思ったらまだオープンして1年ちょっと。もともとアラビア料理のレストランだったということもあり、その面影が残るシルエットだ。「KAWISARI COFFEE」は歴史あるコーヒー豆の販売店だが、この店舗「KAWISARI COFFEE&EATERY」だけはインドネシア料理も提供している。
中に入ると、フロア中央に上階へ続く吹き抜けがあり、ガラス製の涼しげな照明が素敵だ。オールドスタイルでファタヒラ広場のカフェバタビアを思い出す。オリジナルコーヒー豆の陳列棚を眺めながら、2階へ上ると風通しの良い空間が広がっている。通りに面した席を選べば、街路樹を眺めながら、自然の風の中、食事やお喋りを楽しめる。
メニューをめくると、アヤム・ゴレン(鶏の揚げ物)とベベック・ゴレン(アヒルの揚げ物)がおすすめのようだ。アヤム・ゴレンはサイズと胸肉ともも肉が選べる。ご飯はナシ・メラ(赤いごはん)もあって嬉しい。これで2万8千ルピア。サユール・ロデ・チャンプル(野菜のココナツミルク煮)、3万ルピアも注文。高級店かと思いきや、意外と手頃だ。
せっかくだからコーヒーを、と再びメニューを見ると、淹れ方の種類が豊富だった。細かく挽いたコーヒー豆にお湯を注いで上澄みを飲むトゥブルック式、エスプレッソマシーン、ドリップ式、金属製の器具で濃い目に淹れるベトナム式まである。アイスコーヒーも水出しというこだわりっぷりだ。メニューを吟味していると、Cascara Teaを見つけた。コーヒーの実から作るハーブティーだ。ビールなどのアルコール飲料もそろえている。
運ばれてきたお皿にはバナナの葉が敷かれ、パリパリの衣をまとったアヤム・ゴレンと茹で野菜が丁寧に盛りつけられている。ナシ・メラは日本の五穀米に似ているが、癖はなく、ほんのり塩味がして食べやすい。アヤム・ゴレンは驚くほど柔らかく、フォークで簡単にほぐれるほど。一番小さいものを選んだが、次はもっと大きいサイズにしようと思う。
ご飯に野菜のココナツミルク煮をかけて食べると、わずかに唐辛子が効いて、いくらでも食べられそうだ。コーヒーのハーブティーは後味にほんのりコーヒーが香り、不思議な感覚だった。ガムシロップを注ぐと、また違った飲み物になり面白い。
料理を運んでいたルーさん(28)は、「オープンしてすぐ新型コロナのパンデミック(世界的大流行)になり、お客さんが減ってしまったけれど、最近は賑やかになってきた」と嬉しそうに話す。お店の拡張も計画しているようで、今後さらに人気店になる予感もする。ジャカルタの中心で自然の風を感じながら、ゆったりご飯。そんなぜいたくな空間があった。(三好由華、写真も)