発達障害でしょうか
「持ち物の管理に始まり、ルールや時間を守ることが全然できない小学生の子どもがおり、子育てに神経をすり減らしています。発達障害でしょうか。不安と孤独感で一杯です」
お母さまはご心配でしょうね。まず、発達障害についてご説明します。発達障害は遺伝的要因と環境要因が関係していることは判明していますが、原因は特定されていません。
発達障害者の脳は受胎した時から違う成長をすることが知られており、その結果、感覚、注意、認知、対人感情など広範囲な領域で大多数の人と異なる反応をするので、社会生活において様々な問題を招くと言われています。当然、母親は子育てに難しさを感じることになります。
不安な気持ちが強いのであれば、判定検査を受けることをお勧めします。事実が判明しないと不安だけが大きくなり、肝心な対処ができないからです。二次災害的に、お子さんの心育に影響が出始め、メンタルへルスの問題に発展することの方が、今後の親子の人生に問題を引き起こしかねません。
お子さんが2歳の頃、「飛行機が飛んでいるね」とか、「危険だね」とお母さまが指さす方向を見て注意を共有する「共同注意」ができましたか。共同注意はこの時期に芽生える将来の言語発達や共感の土台となるもので、できなければ発達障害が発症するリスクはかなり高いことが知られています。
幼稚園で「席に座りましょう」と言われて座れない、小学校で皆と一緒に行動できない、皆と違う行動をして注意を受けることが多くなれば要注意です。
発達障害は療育で対処できます。2歳になる頃には、発達障害の判定は可能だそうで、早期に発見されるほど適切な支援を受け、発達障害の特性を持ちながらもその人らしい満足のゆく人生を送ることも可能です。ポジティブな意味で診断を受けてみては如何ですか。
診断を受ける場合、小学生高学年ともなれば無理やり診断に連れて行くことはできません。本人と相談するにあたり、お父さまとお母さまの連携が必要となります。質問者のお母さまの孤独感という言葉が気になります。子育ては母親が一人で背負い込むことでは対応できません。父親のお子さんとの関わりが子供の社会性を育み、自立を促していきます。
なお、ミカモーレのカウンセリング理論が今月、厚労省主催の発達障害に関する国際会議で紹介されました。(コミュニケーション専門カウンセラー・家族関係心理士 高崎美佳)
本稿へのご質問などは、カウンセリングルーム「ミカモーレ」(mamapre12@gmail.com)までお願いします。