奥様の本当の気持ち
「妻が就学前の子どもたちを連れ、緊急帰国してから5カ月になります。毎週末、自分の方から電話をしていますが、最近どうも話が続きません。緊急帰国する際もためらうことなく、急いで支度して帰って行きました。生活費を毎月送金してますが、労いの言葉もありません。インドネシアに赴任後、仕事だからと言っては自分の好きなことばかりを優先していたせいかもしれません。空しく不安な気持ちで一杯です」
本国から遠く離れた赴任地で外出もままならず、家族と別れて独りアパートに残された貴方の募る淋しさは、ひとしおでしょう。
人間は自分軸で考えがちな生き物ですから、間違った思い込みから人間関係のズレが始まります。不安から歪んでしまった見方ではなく、事実を客観視することが大切です。
奥様にしてみれば、小さなお子さんを抱え、余裕がないのかもしれませんよ。「大丈夫か」と聞かれても、夫が帰国できるわけでもなく、心配をかけまいと「大丈夫」と返事しているかもしれません。ここは、表面的な言葉を鵜呑みにするのではなく、誘い水をしてでも、奥様の本当の気持ちを聴き出すことが賢明です。
夫婦関係に問題が生じているケースもありますが、まずは奥様との関わりの大切さに気づいたことが、一歩前進ではないでしょうか。
実は、近くジャカルタの駐在員とその家族を対象とした無料相談会を予定しています。
駐在員のメンタル不調の原因は、仕事と家庭にあります。どんなに仕事に集中しようとしても、ひとたび家庭の問題が生じると、仕事に集中できなくなる。それだけ身近な人から受ける心の影響は大きいものなのです。
人間の幸せは、人間関係の中にあります。人との関係が良い時が幸せなのです。それは人生の真理です。例えば、人生の最期に預金通帳を持って来てくれと言う人はいるでしょうか? 人生で築く関係は3つあります。①身近な人との関係、②友人との関係、③仕事上の関係──です。この中で一番難しいのは①。最も身近な人とは、まずは自分です。次は、配偶者です。
身近な人との関係を大切にしていきたいとは思いませんか?
(コミュニケーション専門カウンセラー・家族関係心理士 高崎美佳)
本稿へのご質問などは、カウンセリングルーム「ミカモーレ」