モールに光、笑う猫 コロナ対策の緩和で ジャカルタ

 新型コロナウイルスの影響が深刻化した4月、ジャカルタ特別州でショッピングモールの電気が消えた。南ジャカルタのモール、コタ・カサブランカもその例外ではなく、日本料理店が集まる一角「リトル東京」の巨大な招き猫が不気味にすら見えた。だが6月15日、「大規模社会的制限(PSBB)」が緩和され各モールが営業を再開。にぎわいが少し戻り、心なしか猫の表情も朗らかになっていた。

 コタ・カサブランカを訪れたのは25日午後2時ごろ、平日の昼間だからか、女性客が多かった印象だ。衣料品店の大きな袋を下げて歩いていた南ジャカルタ在住のカルティカさん(55)とフィトリさん(31)の親子は、再開後初めてモールを訪れ、買い物を楽しんだという。
 カルティカさんは「うれしくて(コロナ前に)モールに来ていたときよりも多く買ってしまった」と笑顔を見せた。フィトリさんも「家に帰って後悔するかも」と冗談を飛ばす。開放感でつい財布のひもが緩んでしまったのだろうか。
 モールの再開に当たっては、入り口の検温などコロナ対策が行われている。またコタ・カサブランカの床には矢印のシールが貼られ、来場者は「一方通行」とされていた。混雑を避けるための工夫だ。またベンチには「×」のマークが書かれ、隣接して座らせないようにしている。
 来場者は皆、この手の対策にはもはや慣れたものなのか、すんなり従っているように見えた。
 また南ジャカルタ・ブロックMでもモール、ブロックMスクエアが再開。周辺の日本料理店の営業も戻っている。5月までは店の電気が消え道は暗がりに包まれていたが、少しずつ活気が戻っているように感じる。
 新型コロナの収束はまだ見えず、緩和を不安に思う気持ちはある。それでも今は、活気が戻るジャカルタの風景を少しだけ喜びたい。再び事態が悪化し、招き猫の顔が曇らないことを願う。(大野航太郎、写真も)

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