〝絶景〟求め写真散歩 人混み避け、機材も最小限で ジャカルタ
先行きが見通せない新型コロナウイルスの感染拡大問題。余暇の過ごし方にも悩める日々だが、心身の健康を保つには陽光を浴びて〝光合成〟をするのも必要であろう。そこでカメラを片手にジャカルタ特別州内を歩いてみた。ただし、ウイルス感染は困る。人混みは避け、機材も最小限にしてみよう。自らを追い込んでみると、楽しい写真が撮れるかも知れない。
撮影散歩は場所選びから始まるのが常だが、人との接触を避けるとなると、過密都市・ジャカルタで多くの選択肢はなさそう。ひとまず、徒歩圏でもあるメンテン地区の公園に行ってみることにした。
ただ、時間帯はこだわった。早朝の柔らかい光を探したかった。朝の礼拝にモスクに向かう人々を横目で見ながら、まだ薄暗いタムリン通りを抜けてチキニ方面に向かった。
高級住宅街に囲まれたその公園は、オランダ時代からのものと聞く。近くには米国大使の公邸があった。ただ、住宅街にある公園だから決して大きいとは言えない。撮影条件は厳しいが、太陽が上がる方角を計算しながら構図を考える時間は実に楽しい。
さあ、いよいよ日の出だ。斜めに差し込んでくる朝日が疲れた目に容赦なく突き刺さる。それでも清々しい朝の空気の中、そこそこ気に入った写真が撮れると、至福の時を過ごしたような気になった。
帰り道は特にテーマも決めず、歩きながら〝インスタ映え〟する写真を意識してみたが、どうもパッとしない。それでもインドネシアらしい色彩を画角に収めることができれば、いつかコロナ旋風が過ぎ去った時、「あの時は…」と笑える日が来るかも知れない。
さて、筆者(高地)も同じようなことを考えた。キーワードは人混みを避け、最小機材を持ってのぶらり写真散歩だ。そこで考えた夜明け前のスンダクラパ港(北ジャカルタ)は、涼しく、お散歩にももってこいだった。
実際、ゲートをくぐって敷地内に入ってみると、港湾関係者の姿も疎らで、濃厚接触の心配もななさそうだった。港にうず高く積み上げられたコンテナや、停泊する貨物船など、〝非日常〟というべき光景を楽しめる。
港を後にしてからは、徒歩で向かった先はコタ・トゥア。観光地としても有名になった「カフェ・バダビア」もあるファタヒラ広場へ向かう道は、オランダ東インド会社の拠点となった地。廃墟化した当時の倉庫街を眺めながら歩いて行くと、至る所に壁画があり、いかにも〝インスタ映え〟しそう。
4月も閉塞感を感じる日々が続きそう、知恵を振り絞りながら、少しでも充実のジャカルタ生活を送りたい。(長谷川周人、高地伸幸)