春節前の中華街を歩く えとグッズ、餅菓子で「新年快楽」西ジャカルタ区グロドック
新年快楽、添喜添財──通りを彩る金色の字。25日のイムレック(中国正月=春節)を前に、西ジャカルタの中華街グロドックでは、迎春の準備が進んでいる。グロドックの心臓部である「金徳院」周辺の路地をぶらぶらしてみた。
グロドックのメインストリート、パンチョラン通り沿いの歩道には、赤いちょうちんや新年のえとであるネズミの柄がプリントされたTシャツなど、「新春グッズ」を取り扱う露天商がずらりと並ぶ。買い物客などをかき分けながら、バロンサイ(獅子舞)がのそのそと歩いていた。
ジャカルタ最古の中国寺院「金徳院」では、職員が赤提灯を吊るしたり、線香の束を準備していた。先祖供養のために、中国正月前に参拝に訪れる人もいる。
北ジャカルタ区アンケ在住のラウリーさんは、9年前に亡くした母親の供養のために同寺院を訪れた。母親の遺影の前に、生前好きだった豚肉のサテや豆腐の煮込み料理などと線香を並べ、手を合わせた。
ラウリーさんは毎年、イムレックが近付くと、同寺院で母親の供養をしているという。以前は兄弟2人も一緒だったが、2人とも結婚のためにイスラム教に改宗して以来、寺院に参拝しなくなった。「私だけでも、お母さんのことを思い出してあげないとね」。そう語るラウリーさんの後ろ姿は寂しげだ。
線香の煙が充満する狭い境内では、木魚をたたく音と、僧の唱える中国語のお経が響く。意味は分からなかったが、どこか懐かしかった。
■南国のカレーうどん
歩き疲れたので、グロドックの路地裏にある屋台「カリ・ラム」で昼食を取ることにした。メダン出身の店主アキオンさんの一押しは、カレースープのビーフン(5万ルピア)だ。
スープはココナッツミルクのまろやかさに鶏ガラのだしが効き、「南国のカレーうどん」といった風味。はさみで大胆にぶつ切りした鶏肉と、ゴロゴロとしたジャガ芋の食感が面白い。
Kari Lam
Jl. Pintu Besar Selatan No.71D, RT.7/RW.6, Pinangsia, Kec. Taman Sari, Kota Jakarta Barat, Daerah Khusus Ibukota Jakarta 11110
■イムレックの餅菓子
グロドックの露店では、イムレックの風物詩である、バナナの葉で包まれた餅菓子「クエ・クランジャン(kue keranjang」を売っていた。ヤシ砂糖やココナッツミルク、もち米で作る。中華系インドネシア人は、イムレックを祝うために、大きい物から小さい物まで積み上げて飾ったりする。日本の鏡餅のようだ。
出来たてのクエ・クランジャンは、つきたての餅のように軟らかい。日が経って硬くなってしまったら、油で揚げて食べると、またおいしいそうだ。(高地伸幸、写真も)