インドカレーかチリクラブか 手に触れる場所にあるアート
シンガポール在住のすみれさんによるシンガポール案内の続きです。インド人街で食を楽しんでからオーチャードへ足を伸ばし、シンガポールのアートな側面に触れる。
■カレーソース食べ放題
リトル・インディアにあるインド料理店と言っても、いろいろ。「chaats」と書かれていれば、スナックのあるレストラン。南インドやネパールといった各地方に特化したレストランもあるし、ベジタリアンのレストランもある。
ムスタファ・センターの近くにあるベジタリアンの食堂「Murugan Idli Shop」へ向かった。ムスタファ・センターには日本人観光客もいたが、ここに観光客の姿はない。
まずは、好きなパンを選ぶ。蒸しパン「idli」、ドーナツのような形をした「vada」、クレープのような「dosa」など、どれも2シンガポール・ドルぐらいと安い。
パンを注文すると、バナナの葉を敷いたお盆が置かれ、その上に、白、茶、緑のソース4種類が絵具のパレットのように置かれる。どれも野菜カレーソースだが、味や辛さが違う。
ソースがなくなると、次々にお代わりをついでくれる。「ソースだけでご飯を食べるパダン料理」の気分。だが、野菜だけのソースはヘルシー。「体がじんわり温まる。内臓が疲れた時にいいです」とすみれさん。
さらに、店員さんがサービス満点なので、ビジネスライクなシンガポール人の接客の後では「オアシス」だ。
■チリクラブわんこそば
せっかくのシンガポール、「もっと豪勢に食べたい!」という場合は、定番の「シンガポール・チリクラブ」。MRT「ドビーゴート(Dhoby Ghaut)」駅近くに老舗の「Red House」がある。
ここの店員の「テキパキ具合」とチームワークがすごかった。
店に入ったのは午後2時ごろ。「午後2時半には店を閉めるけどいい?」と何度も念を押された。どーんと運ばれて来たチリクラブは、大きいボウルに、オレンジ色の汁たっぷり。カニは、汁に沈んでよく見えない。
写真を撮ってから食べようとしたら、店員さん2人が「手伝いましょう」と、すっとテーブルの両端に付いた。このままだと終わらない、と見抜かれたらしい。
さすがプロ、手際良くカニを割り、身を取り出して各自の皿に置いてくれる。どんどん食べる。どんどん置かれる。「カニのわんこそば」状態。そして、あっという間に食べ終わり、2時半ぴったりに終了、店はクローズした。恐るべしシンガポール。
■作ることが好きな人に
そこからちょっと足を伸ばして、オーチャードへ。
すみれさんの趣味は絵。「画材がいろいろそろう」と連れて行ってくれたのが、「プラザ・シンガプーラ」地下にある「アート・フレンド(画友)」。
ジャカルタではとても見つからない品がぎっしり並ぶ。何かを作ることの好きな人が行けば、テンションが急上昇するはず。イーゼル、キャンバス、絵の具、額、木の板や棒、刺繍糸、紙、筆、色紙、紙粘土、羽根ペンなど、ジャカルタでは手に入らない品がよりどりみどりだ。
シンガポールでは街をぶらぶら歩くと「シンガポールのバウハウス」写真展を開催していたり、シンガポール人作家の作品を集めたおしゃれなショップがあったり、手に触れられる身近な場所にアートがある。
「シンガポールでの生活は便利だが、刺激が少ない」とすみれさん。室内でできて追求できる、これがシンガポールでアートが盛んな理由だろうか。