スントゥールの「テンペランド」 テンペ作りを体験 簡単そうで難しい発酵食品
インドネシアを代表する発酵食品、テンペ。大豆をテンペ菌で発酵させた物だ。西ジャワ州スントゥールにある「テンペランド」では、テンペの歴史や作り方を学べ、テンペ作りを体験できる。
「テンペランド」は2018年12月にオープンした。原料となる大豆全種類を水耕栽培し、わかりやすいパネルや動画がそろっている。テンペの歴史や代表的な作り方、栄養素などが学べる。
テンペは16世紀ごろ、ジャワ島で作られるようになった。ゆでた大豆をチークやオオマハボウの葉で包んで保存したところ、自然に発酵したのが始まりのようだ。初めは黒豆を使っていたが、「汚く見える」ため、大豆の栽培が広まるにつれて大豆を使うようになった。
当初は王侯貴族の食べ物だったが、大豆の生産が増えるにつれて、庶民の食べ物に変わる。プロテインなどの栄養価が高いために重宝される一方、テンペは低くみられてきた。昔はゆでた大豆を足で踏んでつぶしていたため、スカルノ初代大統領は「テンペのような(他国に踏み付けられる)国になるな」とよく語っていた。「テンペのようなメンタル」は弱いメンタル、「テンペのような部隊」は弱い部隊を指す。しかし、最近の健康志向の高まりで、テンペは見直されてきている。テンペランドもその流れでできた教育施設だ。
「テンペ学習」最大のハイライトは、「テンペ作り実習」だ。まず、作り方の動画を見る。指導してくれたテンペランド職員のズルフィカルさんによると、テンペを作るのには大粒の大豆が必要で、国内生産だけでは賄い切れないため、米国などからも輸入している。市場で売られているテンペにはトウモロコシを混ぜた物もある。見分け方は、「トウモロコシ入りは断面が白くなります。大豆だけで作ったテンペの断面は黄色いです」とのこと。
体験する「テンペ作り」は、実は、すでにゆでてある大豆にテンペ菌をよくまぶして袋詰めするだけ。しかし、袋詰めした後の穴の開け方に奥義がある。
「まず横に四つ、楊枝で穴を開けてください。次に縦に六つ、穴を開けてください。それを4列、やってください。表が終わったら、裏もやってください」
この袋の大きさならいくつの穴が適当か、試行錯誤して、この結果にたどり着いたそうだ。この袋を持ち帰って、常温で24時間、放置する。ただのゆでた大豆が、翌朝には真っ白なテンペに変わっていた。
3日後の週末に食べるのを楽しみにしていたのだが、冷蔵庫から出してみると、一部が黒く変色していた。「テンペは足が速いから、すぐに食べないとだめ」とインドネシア人の友人に注意された。一緒に行った人はテンペができた翌日に食べたが、「酸っぱかったので捨てた」と言う。改めてテンペ作りの難しさを知った。
簡単そうで難しいのが発酵食品。何しろ、最後は「菌にお任せ」なのだ。
テンペランドでは、テンペの本、珍しいテンペ柄のTシャツ、テンペ由来の化粧品なども購入できる。
参照文献 Made Astawan et al. "Tempe" (IPB Press, 2017)
TempeLand
Jungleland Boulevard No. 1 Kawasan Sentul Nirwana
Sentul City, Bogor(遊園地「Jungleland」の入口近く)
下記URLから予約可(「TempeLand paket edukasi」と記載する)
URL: http://www.jungleland.co.id/reservasi
Tel : 0812-8238140
Email : info@tempeland.id
テンペ学習コース(Paket Edukasi=ウェルカムドリンク豆乳、講義、テンペ作り実習、お土産のテンペ付き)。
平日6万5000ルピア、土日7万5000ルピア、グループ(25人以上)5万ルピア。
要予約。
通常はインドネシア語だが、英語も可(事前に要相談)。