ミレニアル x アート x コミュニティー MRT開業で生まれた「m bloc」

 「ブロックM」ではなく「mブロック」。「Blok」ではなく「bloc」。9月にオープンした「m bloc」が注目を集めている。造幣局の官舎を再生させた、ミレニアル世代の若者が集うクリエイティブなコミュニティー・スペース。一段階、進化したジャカルタの今の姿が垣間見える。

 コロニアル調の、2階建てのショップハウス。ジェラート、ジャムー、マナド料理、雑貨店など、おしゃれでかつ個性の感じられる店が軒を連ねる。建物の奥にはライブハウスもある。
 こういった商業施設には珍しく、駐車場がない。MRTのブロックM駅とASEAN駅の中間辺りにあり、どちらの駅からも歩いて5分ぐらいだ。「ミレニアル世代は車を持たない人が多いし、歩くのも平気」「車ではなくMRTで来てください」というコンセプトなのだ。MRT用のICカードを見せると割引になる店もある。
 そして、キャッシュレス。現金は使えず、クレジットカードかデビットカード、Eマネーの「LinkAja」のみ。来年にはGoPayやOVOも使えるようになる予定だ。
 元々は1950年代に建てられた造幣局官舎で、約20年間も荒れ果てたまま放置されていた。この建物を再生させようと、歌手のグレン・フレドリーさんを創設者の1人とする「ルアン・ミレニアル」社と造幣局が協業。バリのコミュニティー・スペース「ウマ・スミニャック」を成功させた建築家のジェイコブ・ガトット・スラさんが設計を行った。
 ジェイコブさんに声をかけられてテナントとなった、雑貨店「Matalokal」の店主、アブ・ハサンさん(25)は「ことし1月にここを見に来た時は、まるでお化け屋敷みたいだった。でも、『MRTの駅2つに近い』というのは戦略的だと思い、入居を決めた」と言う。
 アブさんはバンドンの大学を卒業後、タイのイベント会社で働いていた。その後、バンドンに戻って銀行員をしていたが「退屈な仕事」だったので、辞めて、雑貨店を開くことにした。
 店にはアブさんのセレクトした、インドネシア各地から集められた25ブランドがセンス良くディスプレイされている。アチェの男性用香水、フローレスの草木染めのブレスレット、天然石の指輪、「m bloc」キーホルダーなど、個性的なインドネシアのお土産を探すのに良さそうだ。
 m blocが知られるようになったのは「SNSの力」とアブさん。金曜夜は「ジャカルタの注目スポットで写真を撮ろう」という若者でいっぱいだ。望遠レンズで写真を撮っていたアントさん(28)はプロのカメラマン。「にぎわっていると聞いて、仕事帰りに様子を見に来た」と言う。
 入居する17店のうち、ミュージシャンがオーナーの店がいくつかあり、夜にライブをしたりする。セミナーなどが開ける場も多く、早速、活用され始めている。クリエイティブなコミュニティー・スペース。
 「ミレニアル」「アート」「コミュニティー」にMRTが加わって生まれた、新しい街の姿が見える。(写真は米元文秋)

m bloc
Jl. Panglima Polim No.37, Kebayoran Baru,
Jakarta Selatan

Matalokal
Jl. Panglima Polim No.37, Unit 35G, Kebayoran Baru
10:00〜22:00

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