聖なる大祭、イドゥル・アドハ 「結束が強まった」 中央ジャカルタ
神に生贄を捧げるイスラムの大祭、イドゥル・アドハ(犠牲祭)。6月17日、中央ジャカルタ・タナアバンのジャミ・アル・アンショール・モスクでは、近隣の人々や子どもたちが集まり、神聖な儀式が行われていた。
「物心ついたときから参加している」というウィスル君(12)ら子どもたちは、神妙な面持で儀式を見守ったり、スマホで現場の様子を動画に収めたり、思い思いに行事と向き合う。
モスク前に連れてこられた生贄となる家畜は、まずロープで手足を縛られる。そして地面に押し倒されると子どもたちが歓声を上げた。と殺された牛はプンジャガルたちによって解体され、肉はモスク内で仕分けされる。大人も子どもも一丸となって儀式に臨むモスクに陰湿さはなく、むしろ地域の〝お祭り〟の様相を見せた。
モスクのイマーム(導師)、グスタフ氏(52)は、生贄ののど元にナイフが入る直前にコーランの一節を読み上げ、肉や内臓の仕分け作業を指揮した。「解体した肉は1袋1㌔に分け、地域住民に配る」という。
子どもたちが歌う神に感謝を示す詩「タクビル」が響く中で進む仕分け作業。その様子を眺めてグスタフ氏は笑顔を浮かべた。「今年も神聖な行事をみなで行えて嬉しい。地域住民として、そしてムスリムとしての結束が強まったことだろう」と満足げに話した。(山本佑、写真も)