経済圏を結ぶ大動脈に 高速鉄道開業 中国主導で課題も山積
日本の新幹線方式と競った末、中国が受注したインドネシアの高速鉄道。工期は伸びに伸び、総工費の巨額化にも国内世論の不満が積もったが、2日、ようやくの正式開業にこぎ着けた。
完成を両手放しで喜べない背景には、社会に根強い対中不信や隷属化への不安などがありそうだが、開業式典でジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、「高速鉄道『ウーシュ』は大量輸送の近代化を象徴する」と宣言。鉄道史の新しい幕開けを祝った。
開業段階での運行区間は、ジャカルタ側のハリム駅から西ジャワ州バンドン県のトゥガルルアル駅の約142㌔。最高速度は時速350㌔で、所要時間はこれまでの3時間半から基準となる45分に縮めた。
途中停車駅はカラワンとパダララン。ジャワ島西部の経済圏を結ぶ大動脈となり、周辺開発と連動して今後、経済発展のけん引役としての期待は大きい。来年10月に任期切れとなる大統領の〝置き土産〟となりそうだ。
ただ、度重なる予定変更や関連インフラの未整備といった課題を押し切っての開業には、中国が掲げる巨大経済構想「一帯一路」との連携を強める政権の政治的な思惑もにじむ。行く末を見守る必要がありそうだ。 (センディ・ラマ)