懐かしい時代にタイムスリップ チカプンドゥン骨董市場 バンドン市

 明治モダン、大正ロマン、昭和レトロ……いつの世にもその時代を象徴する言葉がありますね。最先端の流行がカッコ良い時代、少し前の流行を懐かしく思う時代、こうした言葉から思い描くイメージは違っても、どれもどこか耳心地が良いものです。今月のおすすめ観光情報は、過ぎ去った時にタイムスリップ、西ジャワ州バンドン市にあるチカプンドゥン骨董市場を紹介します。

 チカプンドゥン骨董市場(パサール・アンティーク・チカプンドゥン)は、鉄道のバンドン駅の南東約2㌔のところに位置する中古電化製品の解体、修理や部品販売店がひしめきあう古びた市場のワンフロアに位置しています。「ここを入っていいのだろうか」と一瞬躊躇するような細い通路や急な階段が迷路のように入り組んだ旧式の建物。スリルと不安を抱きながら奥へと進んでもそれらしい場所はなく、あきらめかけたところで最後のチャンスと階段を登るとそのフロアはありました。とにかく古く、ひっちゃかめっちゃか(笑)でわかり辛く、近年のジャカルタにはもうなくなってしまったような、物と人が溢れる混沌。もしやそれさえも懐かしさを沸き立たせる演出なのかも……(と思いましょう)。
 木製家具、テレビ、ステレオ、人形、自転車、絵画、食器、古銭、レコード、壺、瓶、何かの像、何かの置物、何かの記念品、何かの何か……。出所も年代も不明な「アンティーク」な物たちを販売するお店が並ぶチカプンドゥン骨董市場。店番、茶飲み話をする友だち、子供、ネコ、きっとしばらくシャッターを開けていないだろうと思うお店から、店主のこだわりが見て取れるお洒落なお店まで、無秩序の中にきっと見えない何かの秩序がある特異な空間。ここはどこだろう、いつか来た事があるような、ずっと昔に見たような、そんな不思議な感覚に駆られ、むせ返りそうになりながらウロウロしていると、「ああ、こんな缶カンうちにあったよな」「そうそう昔はこんな食器を使ってたよ」という懐かしい物に目が留まり、いつの間にかタイムトラベルが完了です。
 2000年代初頭くらいまではジャカルタの街中にもいたるところに昭和レトロな空気感が流れ、ふとした時に望郷の念にかられることが多くありました。テレビではインドネシア語に吹き替えられた日本やアメリカのアニメが流れ、裏路地には木製のおもちゃや空き缶なんかで遊ぶ子供たち。「懐かしの……」とか「青春時代の……」などという枕詞で古き良き時代を懐かしむのはインドネシアでも同じで、新規オープンのカフェでもビンテージ風のインテリアにしたり、アンティークの小物を置いたりというお店もあるようです。
 骨董品、ヴィンテージ、レトロ雑貨、はたまたただのガラクタ? それを決めるのは見る者次第のチカプンドゥン骨董市場。ノスタルジーに浸りながら探検すると、もしかしてもしかすると、好きな人にはたまらないお宝が見つけられるかもしれません。
 ハードル高そうだな、ちょっと無理かもと思う方には向かない場所ですが、興味と勇気がある方は覚悟を決めて探ってみてはいかがでしょうか。(日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)

◇PT. JABATO INTERNATIONAL
電話 021・520・2091
メール sonoko_mizugaki@jabatojkt.com

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