地球や人類の壮大な歴史を学ぶ サンギラン初期人類博物館
私たちは何から生まれたんだろう。どこから来てどこに帰るのだろう……。そんな疑問をふと感じたり、考えてしまったことは誰しもがあるかもしれません。科学的、哲学的、宗教的……、切り口が違えばまたその答えも異なりますから、全人類共通の唯一絶対の答えを見出すことは至難の業。しかし、その答えのひとつを探す手がかりになる場所があります。私たち人類のルーツとは。今回のおすすめ観光情報は中部ジャワの「サンギラン初期人類博物館」を紹介します。
中部ジャワの古都ソロ市から車で約1時間、大河ソロ川が流れるサンギランは「ジャワ原人」として知られる「ホモ・エレクトス・エレクトス」など初期人類や動物の化石が数多く発見されていることから、発掘現場一帯が「サンギラン初期人類遺跡」として1996年にユネスコの世界文化遺産にも登録されたところです。
「サンギラン初期人類博物館」にはこの一帯で発掘された化石の数々や人類誕生の歴史、発掘現場の再現、初期人類の生活の様子を再現した原寸大の模型などが展示されていて、地球や人類の壮大な歴史をリアルに学ぶことができます。また、世界中の専門家がこぞってこの地を訪れ発掘調査をした歴史やその功績を紹介するコーナーでは、いかにこの土地が人類史にとって貴重な場所かを実感します。
展示の序章はサンギランの地形の特徴の紹介から。サンギランは、活発な火山地帯であるジャワ島のほぼ中央に位置しており、西側を現在でも数年に一度大きな噴煙を上げるメラピ山、東側を標高3250㍍のレウ山という大きな活火山に挟まれています。ジャワ島南部で発生したプレートの衝突によって土地がドーム状に隆起すると、ドームを形成する過程で地表にできた溝や断層に水が流れ川を作る弱い土壌になりました。
こうしたことで、このエリアでは年代が古い方を中心にほぼ同心円状に地層が広がり、破損も少ない化石が発見されやすいのだそうです。博物館内の展示によると、世界中で発掘された人類の化石の75%がサンギラン一帯で発見されたものだとのこと。ここはかつて海だったという証拠として、貝や魚類の化石、また、初期人類の化石と同じくらいミステリアスで迫力満点のマンモスの骨や牙の化石も展示されています。
そんな化石の数々を見学しているとどうも不思議な気持ちになってきます。あまりにもゴロゴロと頭蓋骨が陳列されているからでしょうか、手を伸ばせば触れられるところにマンモスの骨や牙などがゴロンと置かれているからでしょうか。圧倒的存在感を放つ物言わぬ過去に生きた命がまるでこの辺り一帯の時空を遠い過去の地球に引き戻しているようです。右も左も足元もコンクリートに囲まれるジャカルタから緑に覆われた環境とのギャップに精巧な等身大フィギュアのリアリティもあいまって現代から遠いどこかに迷い込んだような時空のゆがみ。
私たちは何から生まれたんだろう。どこから来てどこに帰るのだろう……。150年前とも130年前ともいわれるここに眠る私たちの遠い遠い祖先に問いかけます。でもその答えはまだまだわかりません。「サンギラン初期人類博物館」は、この奥が深いテーマについてより深く考えさせてくれる場所です。お子様にとっては将来の研究者への道の始まりになるかもしれません。皆さまもインドネシア滞在中にぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。(日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)
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