沈下するジャカルタの地盤
クナパくん ジャカルタの地盤が沈下しているの?
記者 そうだね。ジャカルタ北部では、2000年以降最大で2メートル以上地盤が沈下しているよ。すでに、都市面積の6割が海抜ゼロメートル以下の低地らしい。
クナパくん なんで?
記者 地球温暖化による海面上昇も原因の1つだろうけれど、一番の原因は地下水の過剰なくみ上げだね。急激な都市化にインフラの整備を追いついていけないからだ。
クナパくん 水道が普及してないという事なの?
記者 ジャカルタの水道管網は総面積の64%しかカバーしていない。だから、ビルも含めて、多くの人々が地下水をくみ上げて、日常利用しているんだよ。このままだと、50年にはジャカルタの95%が水没すると、バンドン工科大学などの研究機関が発表したよ。
クナパくん 対策は何かあるの?
記者 これまでは高潮対策の海岸の防潮堤の強化や、水を海に戻す排水場整備などの対処療法的な対策が行われてきたけれど、これからは、ジャカルタ州政府は水道整備に力を入れると発表したね。100%の普及率を目指すとのことだ。ジャカルタでは配水網整備だけでなく、水源をなかなか確保できないという問題も抱えているんだよ。
クナパくん 地下水の利用規制をするにしても、代替案を提供しないとね。
記者 その通りだね。ジャカルタ特別州政府は、井戸の登録制度や地下水税課税の対処政策を行っているけれど、地下水に代る水源がないと規制や禁止はできないね。実は、東京の江東区、荒川区、墨田区、葛飾区のいわゆる江東デルタとよばれる地域は、産業用水のくみ上げや水溶性天然ガスの採取などで、1960年代まで地盤沈下していたんだ。東京都は地下水の揚水規制や天然ガス採取の停止などを実施して、現在はほぼ地盤沈下が治まったんだよ。
クナパくん ジャカルタには、経済発展を目指すインドネシアの中心都市として、これからも盤石な地盤を提供してほしいね。