半導体が車を走らせる
クナパくん 半導体不足でインドネシアをはじめ世界中で車がつくれなくなっているの?
記者 そうだよ、今年7月半ばの時点の北米だけど、半導体不足で167万台を超える車が減産となったね。乗用車には普通車で50個前後、高級車で100個ぐらいの半導体が使われているといわれているんだよ。
クナパくん エンジンなどへの燃料供給がキャブレターから電子制御になったのは知っているけれども。
記者 電子制御式燃料噴射装置だね。そのほかにも排ガス制御やトランスミッション制御などを電子制御するのがエレクトリック・コントロール・ユニット(ECU)と呼ばれるマイクロ・コントローラーだね。走る・曲がる・止まるといった動きを制御するマイコンのほかに、電力や電圧を制御するパワー半導体、自動運転などの判断を担うプロセッサー、車内外の画像や距離などを測定するセンサーなどが広い意味のECUで半導体がその中核になっているね。今後、ハイブリッド車や電気自動車などもより多くの半導体を必要となるよ。
クナパくん 最近自動車の需要が伸びたので、供給が追い付かないの?
記者 世界の自動車業界で半導体の費用は約400億ドルで半導体の使用量の10分の1だね。実は、米アップルのiPhoneだけでこれ以上の量なんだ。新型コロナウイルスで、スマホなど電子機器の需要が伸びているのと、自動車用の半導体はコロナで消費が落ち込むと予測していたらしく、準備をしていなかったためかな。自動車用の半導体はコントローラーという基礎的な製品であって先端技術ではなく、半導体メーカーが積極的に投資したい製品分野ではないんだ。また自動車業界の納品体制もかんばん方式で、6カ月以上も前から生産ラインを整備する半導体とは調整が難しいらしいんだ。
クナパくん アグス・グミワン・カルタサスミタ工業相は先月末のウェビナーで、半導体の生産がインドネシアのビジネスチャンスっていってたよ。「Making Indonesia 4.0」の課題分野でもあるので、コロナ後に経済活性化が進むように、調整能力が発揮できるといいね。