TODとWFH
クナパくん ジャカルタも最近、街に少し賑わいが出てきた感じがするね。
記者 新型コロナウイルスは早く収束してほしいけれども、昔のような渋滞はごめんだな。
クナパくん 渋滞解消の方策として公共交通志向型開発(TOD)が進められているね
記者 公共交通機関の利用を促進し、自動車に依存しない都市開発をすることだね。
クナパくん 最近出来てきた概念なのかな?
記者 実は、アメリカや日本では戦前から行われていたんだ。当時は、東京や大阪などで、私鉄が郊外へ延伸をして、その駅周辺に宅地開発をするというものだね。
クナパくん インドネシアでも最近よく聞くね。
記者 開発した宅地・住宅の売り上げが鉄道整備の費用として取り込めるだけでなく、鉄道整備の結果、地価が上昇するね。そこで税収も上がることになり、開発利益の還元が得られるんだ。ジャカルタの大量高速鉄道(MRT)開発の初期では、シンガポールのようにロードプライシング(道路課金)制度を導入して、MRT需要を推進する案と併せて検討されたんだよ。
クナパくん MRT整備は進んでいるね。
記者 渋滞による経済損失は大きいので、2018年に決まった運輸計画(大統領令規則55号)で、都市交通統合開発と空間計画政策をTODとして推奨した。ジャボデタベックの通勤線沿線で50のTODプロジェクトを立ち上げ、政府が公共交通機関へのアクセスを改善することで国鉄(KAI)が交通ネットワークを整備し、国営住宅公社のプルムナスが高層住宅を併せて開発するとしたんだよ。
これにより、公共交通機関へアクセスしやすいロケーションの良い住宅が提供でき、また駅などを中心とした限られた土地に高層の建物を建設することで土地利用の最適化が行われ、限られたエリアで、物理的かつ機能的なコンパクトな街づくりが実現。それにともない、電力やエネルギー供給の効率化にもつながるんだ。
クナパくん コロナ禍の影響もあり、在宅勤務(WFH=ワークフロムホーム)へのシフトも進んでいるので、街の開発と同様、住宅がオフィス兼用となる質の転換も必要だね。