テ・ポチの発祥地へ 鉄道で日帰り旅行 茶と砂糖産業の栄えたトゥガル
高速道路なら通り過ぎてしまうだけ。むろん飛行機なら上空を一瞬にして飛び越えてしまうだけ。そうした町や村にも、生命力あふれる人々の生活があります。ジャカルタから日帰りで行ける鉄道旅行。ジャワ北海岸線の街、トゥガルを散策してみましょう。
中部ジャワ州トゥガルはインドネシア第5の都市スマランの西約330キロ、バティックの街として有名なチレボン(西ジャワ州)からは、東へ約80キロに位置しています。
トゥガルと言えば、代名詞になっているのが茶。インドネシアで知らない人はいない瓶入りの茶「テ·ボトル」や、素焼きのポットから氷砂糖入りのおちょこのような湯飲みに注いで飲む「テ·ポチ」などの発祥の地として有名です。
至る所に「テ·ポチ」の看板、茶器の看板やモニュメントが立ち並んでいる様子からも、トゥガルにとって茶は一大産業だということがわかります。
香りが良くてほんのり甘い……ジャワ·ティーには欠かせない砂糖も、この辺りがインドネシアで最初に製造が行われた土地です。
オランダ統治時代、広大なサトウキビ·プランテーションと製糖工場がいくつも建設されました。甘い香りを漂わせながら生産された砂糖が、トゥガル港から各地に輸送されていたのだそうです。現在の主要交通·輸送機関は陸路です。車、バス、二輪車に加え、鉄道も重要な足です。
トゥガル駅の周囲をぐるりと歩いてみました。国鉄所有の建物や土地、蒸気機関車(SL)が展示された整備工場などがあり、さすが、長い歴史を持つ鉄道駅らしい場所です。
駅の入口と反対側、民家の間の迷路のような小道を抜けて線路沿いに行く道を探していると、「どこに行くの?」と次々に声をかけられました。「鉄道が見たい」「線路の方へ行きたい」と答えると、「ここは行き止まりだよ」「あっちから周ったら出られるよ」と笑顔で教えてくれました。
「コタ·バハリ(海洋都市)」はトゥガルの別名です。時に荒れ狂うジャワ海にも、伝統的な木造船で漁に出かける漁師たち。波が穏やかな時には、自慢の白砂ビーチで波と戯れる子供たちの姿も見受けられます。
海沿いの公園に建設された「モニュメント·バハリ(海洋記念碑)」には、戦車、戦闘機、ミサイルなどが展示してあり、「乗り物好き」にはなかなか興味深い街だという予期せぬ発見も。
散歩の最後に、トゥガル名物の豆腐や甘いパイナップルなどを駅前のパサールで買い出しをして、夕方の鉄道に乗ってジャカルタに戻ります。
これで、「ぶらり乗り鉄&撮り鉄散歩·トゥガル編」の完結です。鉄道でちょっとそこまで、出かけてみませんか。(日本旅行インドネシア、水柿その子、写真も)