【じゃらんじゃらん特集】 森の中のテント・リゾート 世界遺産の棚田を満喫 バリ島タバナンのザ・ギリ
バリ島初の世界文化遺産に認定されたタバナン県ジャティルイの棚田。ここから少し山に入った所にバリ島初のテント・リゾート「ザ・ギリ」が出来たと聞いて行ってみた。インドネシアの全ての山に登ったというオーナーが、バリの自然をアクティブに楽しみたいという人たちのために建てたもので、棚田観光のほか、トレッキング、バードウォッチング、サイクリングなどのプログラムが多数用意されている。
屋根と壁は確かにテントだが、中は木の床にキングサイズのベッド、テーブル、浴室があり普通のホテルの部屋と変わらない。夜はかなり強い雨風になったが、テントが揺れることはなく快適だった。「ジャティルイ周辺は建設規制があり、コンクリや鋼材などを使用した永久的な施設では許可が下りない。床などの基礎の部分はノックダウン方式で作ってあるので、いつでも取り外して移動が可能」とオーナーのユンサールさんは話す。
部屋のテラスから棚田に豊富な水をもたらしている山々がよく見えた。休憩のあと、森に入った。草を掻き分けての道は起伏が激しく、ぬかるんでいた。コケに覆われた巨木、籐の木‥。そのうち雨が降り出し文字通り熱帯雨林のトレッキングになった。雨合羽をかぶり、途中、大きな岩がころがる小川を横切り、何度か滑りそうになりながら約2時間、なんとか部屋に戻った。トレッキングには山の頂上まで行く6時間のコースもある。いずれのコースも登山靴と専用の靴下を履くようにとのことだ。
日が落ちると気温が急に下がった。レストランでは暖炉の火がありがたかった。夕食はメインを鶏肉、豚肉、魚から選ぶ。最初に出てきたのはタケノコのスープ。インドネシアにもこんな食べやすいタケノコがあるのかと思った。メインの付け合せはゼンマイの炒め物。どちらも竹やシダが豊富に生えているこの地域ならではのものだ。バリ伝統の土の竈で炊いたご飯はジャティルイの契約農家から仕入れている赤米。香りが良く独特の味わいがあった。
翌日はサイクリングをした。目玉はインド洋に面した人気観光地タナロットまで下る「山から海のまで」の約4時間のコースだが、今回は半分までにした。自分に合うマウンテンバイクを選び、ガイドに先導され緩やかな下り坂を、景色を楽しみながら進んだ。道路は車の往来のない田舎道で安心だったが、上り坂やでこぼこの道もあり、けっこうな運動になった。
現在、施設は部屋とレストランだけだが、近々サウナやスパもオープンする予定だ。「トレッキングやサイクリングを楽しみたいという人だけでなく、自然の中でただのんびり過ごしたいという人にも来てもらいたいので」とユンサールさんは話す。(北井香織、写真も)