寄食珍食ずらり 山間部のタンパク源 ミナハサ伝統の食文化 肉厚の養殖魚も 北スラウェシ・トモホン市場

 犬や野豚、イノシシ、野ネズミ、コウモリ‥。スラウェシ島北部のミナハサ半島一帯に居住するミナハサ人は、「四つ足で歩く動物は何でも食べる」と称されるほど、多様なインドネシアの民族の中でも、独特の食文化を持つことで知られる。ミナハサ半島は、内陸部の多くを山間部が占める。ミナハサ人は古くから、森に生息する動物を貴重なタンパク源として食してきた。
 北スラウェシ州の州都マナドから車で南に約20キロ。現在も火山活動が活発なロコン山(標高1580メートル)に向かって山間部の舗装道路を進んでいくと、高原都市トモホンに着く。ここの伝統市場では、特に年末年始や祭事の時期に寄食の食材が多数並び、この地域を訪れる旅行者の観光ルートの一つにもなっている。
 大みそか前日の30日、地元住民やマナドから訪れた買い物客でにぎわう伝統市場を訪れると、丸焼きになった犬や野ネズミ、コウモリが並んでいた。多くがトモホン地域の山間部で農業を営む住民が罠を仕掛けて捕らえたものだ。値段は、犬が1匹30万ルピア(約2700円)、野ネズミが1匹2万ルピア(約180円)、コウモリが1匹1万5千ルピア(約140円)ほど。近くの屋台や飲食店で、これらの食材を使った料理を試すこともできる。
 トモホン在住のエレンスさんによると、最近では少なくなったが、以前は野生のヘビやサル、トカゲ、現在は捕獲が規制されている希少種のバビルサ(鹿猪)などもよく並んでいたという。ミナハサ人の8割近くがキリスト教徒で、ムスリムが食べない豚肉も多く流通している。
 市場では、トモホンの東側にあるトンダノ湖で獲れたティアピアや半島北端の港町ビトゥンで水揚げされたカツオの薫製やマグロなどの水産物も見掛けた。
 トモホン地域は年間を通じて夜から朝にかけて涼しく、避暑地としても人気だ。訪れるときは、長袖の上着を1枚用意しておくといい。(北スラウェシ州ミナハサ県トモホン市で岡坂泰寛、写真も)

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