【ジョクジャ特集】 静寂に浮かぶ遺跡 日イ友好の展望ホテル プリ・デファタ
ヒンドゥー教遺跡のプランバナン寺院を高台の遠方から臨めるホテル・レストランとして、日本人観光客を魅了してきたのが、ホテル・レストランのプリ・デファタ。10世紀にサンジャヤ王朝が建設した遺跡群は、早朝、昼間、夕方、そしてライトアップされる夜間と、それぞれ異なる表情を見せる。日本人の団体客が夕食をとる場所としても利用されてきたが、日本とインドネシアの友好から生まれたことはあまり知られていない。
1985年、京都とジョクジャカルタが姉妹都市を提携した際、来イした京都の実業家、故・西田福治さんが、ジョクジャのスルタン(王)、ハメンクブウォノ10世の弟であるハディウィノト氏と話し合い、日イ友好の証となるものを造ろうと企画。プランバナン寺院の西側にホテルを建設し、91年に正式にオープンした。旧称はプランバナン・ビレッジ・ホテル。
ゼネラル・マネジャーのジュリアントさんによると、西田さんは戦時中、空軍のパイロットとしてジョクジャに駐留していたことがあり、ジョクジャに何らかの形で恩返しをしたかったと話していたという。94年に亡くなった際、同ホテルやムラピ山、ムンドゥット寺院、インド洋の4カ所に散骨した。現在は息子の賢治さんが運営を受け継いでいる。
長期滞在する宿泊客も多く、中には3年近くにわたり、遺跡などを描くために逗留した日本人画家もいたという。ジュリアントさんは「最近は高齢の方が目立つようになった。若者には深夜までにぎやかな市街地の方がいいのかもしれないが、遺跡周辺でたまには静寂に浸ってみてほしい」と語った。
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