【じゃらんじゃらん特集】 バンドン中心部に 鎮守の森 国連認定の森林保護区 ババカン・シリワンギ
週末はジャカルタ市民でにぎわう西ジャワ州の高原都市バンドン。大渋滞に巻き込まれることも多いが、ファッションエリアとして知られる繁華街のチハンプラスから裏通りに入ったところに、森林が広がる。喧騒から逃れ、一休みする場所としても最適だ。
バンドン工科大(ITB)やサブガ競技場に隣接する森林が「ババカン・シリワンギ」。昨年9月、国連環境計画(UNEP)が3・8ヘクタールをインドネシア初の「都市の森林」として認定し、バンドン市が保護することが決まったエリアだ。
通りから競技場に向かう坂道に入ると、高さ数十メートルの大木がうっそうと茂り、菩提樹の枝が垂れ下がる。車で混雑する市街地とは別世界。さらに奥に進むと、芸術家が集う工房「サンガル・オラ・スニ」がある。絵画、音楽、舞踊、演劇教室があり、週末になると、イベントを開いているという。
工房管理者のハッサン・プラタマさん(48)は、この森林の唯一の住人。「国連の認定をめぐり、森を守ろうとする気運が高まった」と話す。ホテルやカフェが急増する界隈に残されたオアシスにも、レストラン街の建設計画が浮上したが、環境団体などが反対運動を繰り広げて頓挫している。「ステージやギャラリーを併設するカフェなど、ここの環境に合わせた開発なら大歓迎」と語る。
工房からさらに進むと、ヒンドゥー教の小さな祠堂(しどう)がある。ハッサンさんによると、この森を守る神々を奉ったもので、ここはバンドンの鎮守の森でもあるようだ。
いったん大通りに出たところに木版が敷かれた橋がかかっている。高さ約3メートル、わずか50メートルほどの長さだが、森林を守ろうとする意識を高めようと、地元の市民団体が中心となって設置したという。ほかにもリスなどを放して、市民の憩いの場にしようと計画している。(配島克彦、写真も)