【顔】 念願の秘書職、一人暮らし マイレン・アウルア・クワエさん(20)
新しく秘書の仕事に就いた。ずっと憧れだったオフィス内の仕事。最近まで働いていた喫茶店のように、ラフな格好は許されないし同世代の同僚はいない。だが、給料はわずかだが上がり、9月から大学に進学する妹の学費に充てることができる。
小学4年に父を亡くして以来の母、妹との生活がもうすぐ終わる。妹は西ジャワ州インドラマユの大学に、母は学費を稼ぐため親類のいる北スラウェシ州マナドへ。嫁いだ姉に代わり、病弱な母と妹を支えるために17歳から働いてきた。高校の卒業証明書は学費滞納で持っていない。
厨房での調理から、弁当配達の会計やウェイトレス。「なぜ私なの? 皆父さんがいるのに」。1カ月毎日コメだけの時期もあった。ひもじい時、アンチョール海岸で父を思い1人泣いた。だが、父がいないことを言い訳に同情を買うのは大嫌いだ。
秘書職の内定をもらった時、卒業証明書がない理由を聞かれ、他人に境遇を初めて話した。面接官は「そんなこと就職に関係ない」と静かに話した。自分をさらけ出し、正直になることができた。もうすぐ始まる一人暮らし。孤独を感じることはきっとあるだろうが、これからもジャカルタに根を張って生きたい。