断食月 変わる街景色
■屋台が大繁盛 タナアバン市場
日が沈み始めた午後5時ごろ、ラマダン(断食月)のブカプアサ(1日の断食明け)を祝うための食べ物を購入しようと、中央ジャカルタのタナアバン市場に大勢の市民が訪れていた。
店頭には、ロントン(バナナの葉)や牛肉などを使った料理が並ぶ。食材を買いに来ていたナナさん(27)は「家で夫と子どもの3人で食べるために買いに来た。毎日来ています」と話し、大量のブブール・スムスム(米粉、ココナッツミルク、ヤシ砂糖などで作ったデザート)を購入して家族が待つ家へと帰っていった。
店は活気にあふれ、食べ物を品定めする人や値段交渉する人の姿があった。購入したものをブカプアサ前にうっかり口にしてしまい、家族に注意される人もいた。
店を切り盛りするリナ・リスナワティさん(20)は「今の時間帯が一番の稼ぎ時。ブカプアサを一緒に過ごすために買いに来てくれるのはうれしいです」と語った。
ブカプアサを告げる合図がモスクから聞こえてくると、店で食べ物を買った人々の多くは近くのモスクへ移動。料理を広げ、近所の人と一緒にほお張った。
■モスクで昼寝 ジャカルタ中心部
ビルが立ち並ぶジャカルタ中心部にあるアル・ウダ・モスクには、昼休みになると祈りを捧げにくる人がやってくる。今はラマダンということもあってか、日中のモスクには昼寝をするムスリムの人々の姿があった。
モスクは日差しを遮ってくれるだけでなく、風通しが良い。また、敷き詰められたタイルは寝るには程よい冷たさだ。頭に水で濡らしたタオルを枕代わりにして暑さを和らげている人もいた。
近くのビルから来たダダンさん(48)は「ここで昼寝するのは、ブカプアサまで体を休めておくためさ。空腹を我慢するには、寝るのが一番」と語った。
1時間ばかり昼寝をして気分転換した人々はそれぞれの職場に戻っていった。